パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は、パキスタン・クリプト・カウンシルの最高経営責任者(CEO)であるビラル・ビン・サキブ氏を、ブロックチェーンおよび仮想通貨に関する特別補佐官に任命した。

現地英字メディアのパキスタン・オブザーバーによれば、サキブ氏には国務大臣の地位が与えられるが、給与や公的な特典は受け取らないという。

この任命は、パキスタン政府がデジタル資産分野における影響力を強化する一連の政策の一環とみられる。前日には、ビットコイン(BTC)マイニングおよび人工知能(AI)センター向けに、2000メガワットの余剰電力を専用に割り当てたことが発表された

さらに5月中旬には、パキスタン財務省が、ブロックチェーンを基盤とする金融インフラを監督する専用機関の設立を承認した。この新機関パキスタン・デジタル資産庁(PDAA)は、仮想通貨取引所、カストディアン、ウォレット、トークンプラットフォーム、ステーブルコイン、分散型金融(DeFi)アプリケーションのライセンス発行や規制を担う見通しだ。

サキブ氏、国家ブロックチェーン戦略を主導へ

サキブ氏はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の卒業生であり、イギリス国王チャールズ3世より大英帝国勲章(MBE)の称号を授与されている。現在はパキスタン・クリプト・カウンシルを率いており、同組織の顧問には元バイナンスCEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏を迎えている。また、「フォーブス30アンダー30」にも選出された経歴を持つ。

首相の特別補佐官として、サキブ氏は、金融活動作業部会(FATF)に準拠した仮想通貨規制の策定、国家主導によるビットコイン・マイニングプロジェクトの立ち上げ、さらにはブロックチェーン技術を活用したガバナンス、土地登記、金融管理の推進などを担当する。

仮想通貨を推進するパキスタン

パキスタンは現在、仮想通貨産業への取り組みを本格化させている。

4月末には、ドナルド・トランプ氏の支援を受ける「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」が、国内における仮想通貨普及を加速させるため、パキスタン・クリプト・カウンシルと基本合意書(LOI)を締結した。パキスタンは現在、仮想通貨市場で最も急成長を遂げている国の1つとされている。

また、パキスタンの規制当局は、FATFの基準に準拠したデジタル資産規制の枠組みを提案しており、これはコンプライアンス重視の政策と位置づけられている。連邦捜査局(FIA)のスマラ・アザム局長はこの政策について、「パキスタンがデジタル金融をどう捉えるかにおいて、パラダイムシフトをもたらすもの」と語り、「技術革新と国家安全保障の要請との間に歴史的なバランスを築くことを目指す」と述べている。

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