バイナンスの前CEOであるジャオ・チャンポン(CZ)氏が、パキスタンで新たに設立された規制機関「クリプト評議会(Crypto Council)」の顧問に任命された。同機関は、同国におけるブロックチェーン技術とデジタル資産の導入を監督する役割を担う。

この任命は、パキスタン財務省によって確認され、4月7日付でブルームバーグが報じた。ブルームバーグによれば、ジャオ氏は仮想通貨規制、インフラ整備、普及促進に関して助言を行うという。

CZ is seen signing documents during his appointment by Pakistan’s Ministry of Finance. Source: Business Recorder

ジャオ氏は、2017年から2023年までバイナンスのCEOを務めた仮想通貨業界でも著名な人物だ。2023年11月、米国のマネーロンダリング関連法規違反を認めたことによりCEOを辞任し、後に禁錮4か月の判決を受けた。

パキスタンにとって、同氏のような国際的に著名な人物の起用は、デジタル資産産業における戦略的重要性の高まりを背景に、海外からの投資を呼び込む可能性を秘めた一手となる。

3月には、パキスタンのクリプト評議会CEOであるビラール・ビン・サキーブ氏がブルームバーグに対し、同国がデジタル資産に関する明確な規制枠組みの構築を計画していると述べた。

「パキスタンは、もはや傍観者ではいられない」とサキーブ氏は語る。「パキスタンは、低コストで高成長が見込まれる市場であり、Web3ネイティブの人材が構築の準備を整えている。我々は国際的な投資を呼び込みたいと考えている」。

パキスタンにおける仮想通貨の普及と課題

パキスタンは、人口の多さ、国外在住者の多さ、非公式な外貨取引市場の活発さから、かねてより仮想通貨の有力な普及拠点として注目されてきた。

昨年末には、パキスタン国内での非公式ドル取引への取り締まり強化を受け、正式な送金ルートを通じた送金額が急増した。

「この増加は、以前は闇市場経由で送られていた送金が、現在は公式チャネルを通じて送られるようになったことが背景にある可能性がある」と、フィッチ・ソリューションズのエコノミスト、ジョン・アシュボーン氏はブルームバーグに語っている。

チェイナリシスの2024年版「仮想通貨普及指数」において、パキスタンは主に小口投資家による利用や中央集権型サービスでの取引の活発さが評価され、高順位にランクインした。

In 2024, Pakistan ranked ninth among Central and Southern Asia and Oceania (CSAO) countries. Source: Chainalysis

通貨価値の下落により米ドルへの需要が高まる地域では、ステーブルコインが仮想通貨の主要なユースケースとして浮上している。

パキスタンにおけるステーブルコインの使用に関する具体的データは限られているが、2023年のKuCoinの調査では、国内の仮想通貨投資家の33%が、ルピーの価値下落に対するヘッジ手段としてデジタル資産を利用していると回答した。

また、より最近のBitgetによる調査では、インド、パキスタン、バングラデシュなどを含む南アジア地域の回答者のうち46%が、取引の迅速さと利便性を理由に仮想通貨を利用していることが明らかになった。