ビットコインのP2P(ピアツーピア)マーケットプレイスはユーザーが国境を越えて資金を移動させる上で重要な役割を果たしているが、Paxfulのレイ・ユーセフ氏によれば、その未来はパーミッションレスで停止不能となることによって決まる。
ユーセフ氏は、ニコラス・グレゴリー氏とアントワン・リアール氏と共に、Nostrとライトニングネットワークを活用し、検閲抵抗性とピア間のパーミッションレスな取引を可能にする分散型プラットフォーム「CivKit」の開発を推進している。
ユーセフ氏はフランス・ビアリッツで開催されたサーフィン・ビットコイン・カンファレンスで、コインテレグラフに対し、2023年末に向けてアルファリリースを目指す開発中のプロジェクトについて語った。
ユーセフ氏、グレゴリー氏、リアール氏が共同執筆したホワイトペーパーによれば、CivKitシステムはP2PオーダーブックのためにNostrプロトコルを使用し、その「ウェブ・オブ・ステーク」マーケット・ランキング・パラダイムの信頼できる情報源としてビットコインネットワークに依存する。
取引はビットコイン・コントラクトによってロックされ、仲裁のための第三者への依存を排除する。また、マーケットノードは、BTC支払いに裏打ちされたプライバシー保護サービス認証によって報酬を得る。
ホワイトペーパーでは、そのマーケットシステムの目指すところは、法定通貨、商品、サービスを含む世界中のあらゆる種類の商品のグローバル取引を可能にすることだ。
ユーセフ氏によれば、P2Pマーケットプレイスは人気があるが、ビットコインエコシステム内ではニッチな存在と見なされている。多くの仮想通貨ユーザーが取引を考えるときに現物や先物取引所、マーケットプレイスを思い浮かべる中、ユーセフ氏はP2P取引、つまり仮想通貨をクリアリングレイヤーとして使用したOTC(相対)取引は、ユーザーが思っている以上に大きいと語る。
「ビットコイントークで取引を始めた人々から始まり、次にローカルビットコインが登場し、その後にPaxfulが登場した。そしてジャオ・チャンポン(CZ)が私のアイデアを盗み、バイナンスのP2Pを立ち上げた」とユーセフ氏は語った。
ユーセフ氏は、バイナンスのP2Pマーケットプレイスが現在エコシステムで最大のプレイヤーであることを認め、バイナンスの創設者であるCZとの私的な会話から、現物市場が大きなリターンを生み出すのに苦労する中で、P2Pサービスがバイナンスのビジネスにおいて最大の収益源であり続けていると指摘した。
CivKitの創設の一因は、バイナンスのようなP2Pプラットフォームが何かの拍子で閉鎖される恐怖から生まれた。ユーセフ氏は、これらのサービスに依存して国境を越えて資金を移動させているP2Pユーザーにとって、代替手段がないことが真の懸念事項だと語る。
「それはトレーディングについての話ではない。投機的なものではない。彼らは文字通り資金を流通させ、以前にはできなかった方法でお金を使うことを試みている。ピア・トゥ・ピアはその唯一の手段だ」とユーセフ氏は強調した。
ユーセフ氏は、2023年2月のローカルビットコインの閉鎖や、2023年の規制上の課題が2023年4月のPaxfulのサービス一時停止につながったことを指摘。Paxfulは1か月以上後に再開された。
「詐欺は大きな懸念事項だ。規制は大きな懸念事項で、リスクは巨大だ。それは"オペレーション・チョーク2.0"だ。彼らは仮想通貨、ビットコインへの全てのオンランプとオフランプを閉鎖しようとしている」とユーセフ氏は語った。
ユーセフ氏はまた、P2Pマーケットプレイスは"停止不能"で"パーミッションレス"に構築する必要があると強調。デラウェア州に拠点を置くPaxfulとフィンランドに登録されているローカルビットコインは、それぞれ大きく異なる地理的位置にあるにもかかわらず閉鎖に直面したと指摘した。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン