OpenAIのCEOであり、ワールドコインの共同創設者であるサム・アルトマン氏は、初めて議会で証言を行った。IBMのプライバシー・信頼担当責任者クリスティーナ・モントゴメリ氏や、ニューヨーク大学教授ゲイリー・マーカス氏ととも議会公聴会に出席した。

議会上院の司法プライバシー・テクノロジー・法律小委員会の公聴会で、議員たちはOpenAIのCEOらに対してAI規制に対する見解について質問する場となった。

イリノイ州のディック・ダービン上院議員によると、「歴史的」な公聴会での議論はChatGPTのような生成型人工知能(AI)モデルによって生じる可能性のある脅威を理解し、法制度がどのように規制に取り組むべきかに焦点を当てていた。 

アルトマン氏のコメントは、議会のメンバーやマーカス氏などの同席者によって誠実で真剣に思えると評され、いくつかの上院議員を驚かせるものであった。 

彼は、開発ライセンスを発行し取り消す権限を持つ連邦監督機関の設立を提唱し、クリエイターの作品がAIシステムの訓練に使われた際にはクリエイターに報酬が支払われるべきだと主張し、AI製品を使用して被害を受けた消費者が開発者を訴える権利を持つべきことに同意した。 

アルトマン氏は、最近の「AI開発の一時停止」を求める公開書簡に関する質問を一蹴している。GPT-4よりも強力なシステムの導入を6ヶ月間停止するよう求める公開書簡に対し、OpenAIがGPT-4を評価するのに6ヶ月以上かけていたと述べ、そのため同社は次の6ヶ月間に別のモデルを導入する予定はないと述べた。 

公開書簡の署名者であるマーカス教授は、書簡の精神にはもっと同意するが、内容にはあまり同意しないと認めたが、同教授は議会に対 し、連邦レベルの規制だけでなく、グローバルな監督を検討するよう求めたこの意見にアルトマン氏も同意した 

    

公聴会全体を通じて、アルトマン氏を含む3人の証言者はほとんどのトピックで一致していた。これには、プライバシー保護、政府の監督強化、第三者監査、そして米国政府が業界をいつ規制すべきか(即時)という点も含まれていた。

しかし、唯一の不一致だった点はIBMのモントゴメリー氏のものだ。同氏は、新たな連邦機関がAI産業の規制を強制するために必要という考えには同意しなかった。 

彼女の発言からは、現存する規制機関が特定のユースケースに重点を置き、規制を執行する外科的なアプローチをIBMが支持していることが伺える。 

すべての証言者がAIに対して何かしらの安全対策が必要であると同意した。その中でもマーカス教授は現在のAI製品がどれほど有害であるか、そうなる恐れがあるかを現在の誰もが理解し予測できないと主張する。彼は、より透明性を求める慎重なアプローチを提唱した。

また証言者らは議会のメンバーと一致して、米国が欧州と同様の国家プライバシー法を必要としているとも語った。しかし、アルトマン氏は、消費者が公に利用可能なウェブデータを訓練データセットに含めるのを選択的に拒否できるべきだという考えには同意しなかった 

また、アルトマン氏はOpenAIがGPT製品の広告ベースのバージョンを提供することに反対であるとは明言しなかった。CEOは単に「絶対にないとは言わない」と述べただけであった

  

ちなみに公聴会の最初にアルトマン氏がOpenAIの製品が消費者のプライバシー基準に準拠していると述べ、同社がパーソナライズされた広告を提供する目的でユーザープロフィールを作成していないと証言している。

分散型金融とWeb3企業と携わった経験を持つニュージャージー州のコーリー・ブッカー上院議員は、中央集権の問題を提起した。彼は業界にとって中央集権と独占の影響は何であるかを質問し、マーカス氏は国が一部の大手AI企業に公共の認識をコントロールされるリスクを冒している可能性があると警告した。これらの大手AI企業はマイクロソフト、グーグル、アマゾンと競争するだけの資金を持っている。

イーサリアムのブロックチェーン上の分散型仮想通貨と虹彩スキャン技術による身元認証を組み合わせたワールドコインプロジェクトの共同創設者でもあるアルトマン氏は、OpenAIが単にプラットフォームを提供しており、開発者や企業、エンドユーザーがGPT APIを「素晴らしい」用途に適応させた時点で、OpenAIの製品の民主化が実現したと説明した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン