米民主党のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員(通称AOC)は、米下院金融サービス委員会が7月17日に開催した公聴会において、フェイスブックの仮想通貨リブラを「大企業が支配する通貨だ」と批判した。同氏は、オバマ元大統領の後継者としても注目される、史上最年少の新人女性下院議員。
下院公聴会の中で、コルテス議員は、フェイスブック子会社カリブラのデービッド・マーカスCEOに対して、「(フェイスブックは)通貨を作り、ウォレットを介して少なくとも決済サービス業者として活動しようとしている。なぜこれら活動は、単一の企業にまとめるべきなのか」と問いただした。
またコルテス議員が、リブラ協会の参加企業について「協会員企業は、(民主的に)選ばれたものか」と尋ねると、マーカスCEOはそうではなく、協会基準によって決定されたと答えた。これに対して同議員は、リブラを「非民主的に選出された大規模企業の連合が支配する通貨だ」と批判した。
コルテス議員は、金融面の問題にも焦点を当てた。
「(マーカスCEOは)昨日の上院公聴会で、リブラによる報酬支給を100%受け入れると述べた。米国の歴史において、企業などが管理する通貨による報酬を意味する用語が存在する。(中略)それは『スクリップ(scrip)』と呼ばれている。あなたの報酬(に用いる通貨)は、政府ではなく、企業により管理されるものだ。これにどんなリスクがあると思うか? フェイスブックがどのように〔2016年の大統領〕選挙を処理したのかという問題を見ると、公共財の不安定化を目の当たりにしているのがわかる」
企業によるスクリップは、1938年に制定された公正労働基準法で「適切な報酬手段」と認められなかったため、ほぼ1世紀の間米国における報酬支給手段としては違法になっている。日本におけるスクリップの例としては、米軍が占領下の沖縄県で発行したB型軍票(B円。B type military scrip)がある。
さらにコルテス議員は、一般的な法定通貨同様にリブラが公共財であるべきかどうか、マーカスCEOに見解を尋ねた。マーカスCEOは、「ソブリン(sovereign)通貨は、主権者の下にとどめるべきだ」と述べ、リブラを公共財とすべきかどうかを決定する権限はないと答えた。ソブリン通貨は、法定通貨を含め、政府や中央銀行が主体的に関与している通貨を指す。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版