韓国の大手仮想通貨取引所アップビットで27日に発生した仮想通貨流出事件。ブロックチェーンセキュリティ企業は北朝鮮によるハッキング攻撃の可能性もあると指摘している。一方、仮想通貨コミュニティの中では「内部犯行ではないか」との見方も出ている。韓国メディアの「Join:D」が27日に報じた。
アップビットでは27日、ホットウォレットに保管していた仮想通貨イーサリアム342,000ETH、約580億ウォン(約53億円)相当が流出した。
ブロックチェーンセキュリティ企業のスローミスト(SlowMist)は、「インサイダーによる犯行の可能性も排除できないが、外部のハッカーによる攻撃の可能性が高い」との見方を示した。
スローミストによれば、今年初めからアップビットは北朝鮮によると思われる攻撃を複数回受けいていたという。「ハッカーは、特定のサイトを長期間にわたって攻撃することで犯行の機会を伺おうとする特徴がある」とし、北朝鮮などの外部犯行説を主張している。
一方で、仮想通貨アナリストのジョセフ・ヤング氏は、「外部よりも、インサイダーによる犯行の可能性の方が高い」と指摘する。
アップビットがコールドウォレットへの仮想通貨への移転作業をしている時を狙ったことから、社内の事情に詳しい人物ではないかという見立てだ。
「韓国で最もセキュリティが高いと思ったのに…」
韓国の大手メディア、毎日放送(MBN)はアップビット事件について報道。アップビットは「国内の仮想通貨取引所の中で、最もセキュリティレベルが優れているという評価だった」とし、アップビットがハッキング被害にあったことが大きな衝撃を与えていると伝えている。
また28日の韓国株式市場では、アップビットの事件を受け、インターネットセキュリティ企業の株価が高騰。現地メディアのソウル経済は、アップビット事件を受け、韓国の取引所がセキュリティ強化に乗り出すことでセキュリティ企業が恩恵を受けるとの見方が広がったためと分析している。
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