ミャンマーの「影の政府」と民主派勢力が作った挙国一致政府(NUG)は、ステーブルコインのテザーを同国で使用する公式な通貨として宣言した。

影の政府はミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問率いる国民民主連盟(NLD)の議員らが軍事政権に対抗して設立した「連邦議会代表委員会(CRPH)」が樹立したものだ。

ブルームバーグの報道によると、NUGはミャンマーの軍事政権を打倒するために行っている資金調達キャンペーンのためにテザーを受け入れるという。また、影の政府は、世界中のミャンマー・ディアスポラに提供する「春の革命の特別債(Spring Revolution Special Treasury Bonds)」の販売を通じて950万ドルを調達した。同グループは、NUG発行の債券を販売することで10億ドルの資金調達を目指している。

NUGの計画・財務・投資省は、11日にこの動きに関する発表をFacebookに掲載した。

Announcement regarding NUG acceptance of Tether. Source: Facebook

テザーを公式通貨とするNUGの決定は、昨年5月にミャンマー中央銀行が課した仮想通貨禁止令と反するものだ。

テザーを現地で使用する公式通貨として取り入れるのは、プライバシーに関する懸念と現政権による資金の差し押さえがきっかけとなっている。NUG財務大臣は、テザーを採用した主な理由として、「現在の貿易、サービス、決済システムを容易にし、スピードアップするため 」と述べた。

NUGは、2021年10月にフランス上院と欧州議会からミャンマーの正式な政府として承認されたが、米国は静観している。NUGがテザーを受け入れて使用するという決定は、米国政府が厳格なステーブルコイン発行政策を行おうとしている時期には、国家間の議論のポイントになる可能性がある。