米消費者金融保護局(CFPB)は6月1日に公表した報告書で、米国民に対し、保険のかからない決済アプリではなく、保険が適用される口座にお金を預けるよう警告した。非銀行のP2P(個人間)決済アプリの普及と利便性が高まる中、仮想通貨取引を含むこれらのアプリでの資金喪失リスクがますます懸念されると、監視当局は指摘している。

昨年のFTXやボイジャーなどの仮想通貨プラットフォームの破綻や、今年の銀行危機により数億ドルの顧客資金が失われたことで、連邦預金保険公社(FDIC)の保険適用範囲についての認識が高まっているとCFPBは指摘。

しかし、FDICの保険が適用されない決済サービスアプリに何十億ドルもの資金が保管されていることを問題視した。CFPBが挙げるPayPal、Venmo、Cash App、Apple Pay、Google Payなどの多くのP2Pアプリは、「預金口座に酷似した格納価値サービス」を提供している。

決済サービスプロバイダは、顧客に資金を預けさせることを促す。これによってプロバイダは法的制約に従って、預かった資金を投資目的で使用できる。しかし、格納された資金に対して利子を支払うことはほとんどない。

CFPBによれば、顧客の資金がFDICの保険に適用された口座に保管されていたとしても、パススルー保険(米国の預金保護制度で最高25万ドルまで保証される)の適用資格は、破綻が発生した後にしか判断されない。さらに、保険は銀行の破綻に対して保護されている。しかし、決済サービスは通常、州レベルで規制されており、連邦監督の対象ではない。ほとんどの州の規制は、資金の移動ではなく、保管を目的として設計されている。

そのため、PayPalやVenmoがプログラムバンクで保有している資金は、パススルー保険の対象となる可能性があるが、プロバイダが投資した資金は対象外だ。顧客は自分の預金がどこに保管されているかを知らないことがある。

モバイル決済サービスは、仮想通貨取引を可能にする機能を次々と追加している。仮想通貨は保険対象外であるが、PayPalやVenmoのようなサービスでは、顧客がアカウント内に仮想通貨を保有することができる。