マネックスグループは5月7日、2019年3月期の通期決算を発表した。コインチェックによる仮想通貨(暗号資産)事業は、金融費用及び売上原価控除後営業収益が前年度比83.5%増の38億1200万円、税引前利益は2億9300万円の黒字(前年度は17億3200万円の赤字)となり、マネックスグループ入り後で初の黒字となった。
出典:マネックスグループ
決算説明資料によれば、仮想通貨市場のボラティリティ上昇によって取引高が増加し、トレーディング収益が大幅に増加した。加えて「世界初のLiskステーキングサービスや新規通貨取り扱いの開始も」収益増に寄与したという。
仮想通貨事業については、2019年度は「累計期間にわたって全サービスがフル寄与、市場活況に伴う取引量増加および新規暗号資産の取扱いにより、トレーディング損益が大幅増加」と総括している。直近の2020年1~3月についても、「高いボラティリティを背景に取引高が増加」している。
また通期では、コスト削減の取り組みも黒字達成に寄与したようだ。人件費やシステム関連費用を絞り込み、販売管理費を12億円以上削減している。
出典:マネックスグループ
またユーザー数関連では、アプリダウンロード数が287万件、登録ユーザー数が203万人、マネックス本人確認済口座数は94万件となっている。
米国事業でも口座数は増加
米子会社のトレードステーションで展開している仮想通貨事業についても「取引活況により収益が増加」した。
仮想通貨事業「トレードステーションクリプト」の口座数は前四半期比5倍の3782件と大幅に増加したという。
コインチェック「大きく改善」
マネックスグループの松本大CEOは7日、リモートで決算記者会見を開催した。
コインチェックについては、利益指標の1つEBITDAで34億円のプラスとなったことを強調。コインチェックの黒字化が、マネックスの業績に貢献している点を評価した。今後についても日本事業や米国事業とともに企業価値の増大を進めていくと述べた。
「米国は逆風の中でも伸びている。コインチェックのビジネスは赤字から黒字に大きく改善した。日本は苦戦しているが引き続き稼ぎ頭であり、日本・米国・クリプトというバランスの取れた形で、企業価値の増大を図りたい」
また新型コロナウィルスの市場への影響について質問を受け、最悪期は脱したとの考えを示した。
コロナの感染拡大を受け、短期的にGDPが下がり、心理的なパニックも生じたが、足元ではワクチン開発といった科学的な研究も進展し、中央銀行による無制限の流動性供給や政府による大規模な経済対策も打ち出されており、「ワーストな部分からは抜け出していると考えるのが妥当ではないか」とみている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン