英国の国際送金サービス会社MercuryFXは18日、リップルの決済システムxRapidを使った英国ーメキシコ間の送金で「約1万2100円と31時間」の節約に成功した。一夜明けた19日、MercuryFXの創業者兼CEOであるアラステア・コンスタンス氏がコインテレグラフ日本版の取材に応じ、我々は「古い」国際送金システムであるSWIFT(国際銀行間金融通信協会)脱却の転換点をすでに迎えているかもしれないと述べた。

MercuryFXの国際送金成功

40通貨以上を取り扱い世界中で送金サービスを手がけるMercuryFXは18日、リップル社のxRapidを使って数秒で8万6633ペソ(約50万円)を英国からメキシコへ送金することに成功。SWIFTを使った従来の送金と比較して、手数料79.17ポンド(約1万1200円)と31時間が節約したと成果を示した

リップル社の国際決済サービスxRapidは、すでに大手金融機関の間で普及が進んでいるxCurrentとは異なり、仮想通貨XRPの利用が義務となる。xRapidでは、クロスボーダー送金の際、銀行が円や米ドルでXRPを購入し、そのXRPを送金先の地元業者が地元の通貨に両替する仕組みを提供する。今回のMercuryFX社による実証実験の成功は、xRapidの威力を示す証明として仮想通貨業界の中で注目された。

SWIFTは古いテクノロジー

成功から一夜明けてコインテレグラフ日本版の取材に応じたMercuryFXのコンスタンス氏は、SWIFTについて「21世紀の経済においてなぜ我々は古いテクノロジーを使わなければいけないのか」と発言。SWIFTは1977年設立の「古い電子メッセージシステム」とし、「しばしば政治的な目的を達成するために使われる革新性のない、かなり動きが遅い企業」だとみている。また「銀行集団に所有されているSWIFTは、利用者に課した高額な手数料から高いマージンが得られる現状をクロスボーダー送金のスタンダードにし続ける利害関係がある」と批判した。

一方リップルについてコンスタンス氏は、「21世紀の企業」とし、「『価値』の支払いと送金を速く、安く、100%追跡可能にする新たな技術を利用している」と評価。「初めて見た時から恋に落ちた」とし、リップル社の決済システムの採用は「簡単なビジネス決定だった」と述べた。コンスタンス氏は次のように続けた。

「リップルのブロックチェーンや他の多くのブロックチェーンは、SWIFTに取って代わる可能性を秘めている。それらは、情報がグローバル化したように本当の意味でお金をグローバル化するだろう(中略)ブロックチェーンは、ソーシャルメディアが古いメディアに対してやったのと同じことを国際送金の分野で起こす力を持っている

また「大手金融機関」がまだxRapidを使っていないという指摘についてコンスタンス氏は、「それはリップル社のみが知っていることで分からない」と発言。ただ、「大手金融機関」でリップル社の他のプロダクトを使っているケースはあるとし、「xRapidを大手金融機関が使う必然性はかなり減っている」と指摘した。

「xRapidは大手金融機関の参加なしで機能するようにデザインされており、我々もそのパワーと魅力に引きつけられている」

転機はもう来ている?

「いつSWIFTの体制が崩壊するのか」という質問に対してコンスタンス氏は「おそらく転換点をすでに迎えているのでは?」と回答。SWIFTを含め、ブロックチェーンを使った支払いサービスの競争は激化し、速くて安い国際送金の恩恵を受けれる消費者やビジネスにとっては素晴らしいこと述べた。その上で、ブロックチェーンによる送金がSWIFTを取引高で上回るの時期については「2、3年後かもしれないが我々は夢を見るために生きているだろう」と話した。

リップルとは、仮想通貨の一種。リップルは通貨の名称であり、その通貨を発行・管理するシステムであり、それらを運営する会社名でもある。通貨としてのリップルの大きな特徴は従来の送金システムを劇的に改良できる可能性を秘めていること。Xrapidはリップルを様々な通貨の橋渡しを行うブリッジ通貨として利用することで、安価で迅速な国際送金を実現でき、単一でグローバルな金融ネットワークの構築を可能にするシステムとして注目される。

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