マスターカードは、身元データ(ID)の保存と確認を行うブロックチェーンシステムの特許を申請した。米国特許商標庁(USPTO)が12日に申請内容を公開した。

 マスターカードは申請で次のように述べている。

「これまで、(身元の)証明は政府の身分証明やクレジットカード、名刺などで行われてきたが… (そのような)証明は不確かな場合があったり… 完全な偽造で、特定が困難な場合もある… 身元証明データを不変の状態で保存するための技術ソリューションが求められている」

 特許文書ではさらに、ブロックチェーンシステム上で身元データを分散型して保管することにより、不正使用を防ぐ仕組みについて概説している。権限のあるノードだけがシステムデータを提出・更新できるシステムで、公開型ではなく(半)非公開型のブロックチェーンソリューションを提案している。

 マスターカードに承認されたノードでは、データファイル作成のため、最低条件として各存在に公開鍵と位置情報の提供を求める。これら「下位の」存在には、それぞれ「上位の」存在からデジタル署名が割り当てられる。そして、マスターカードの処理サーバーの「ハッシングモジュール」が各存在について「ID値」を生成し、ブロックチェーンに追加された直近のブロックの記録とともに、時間刻印されたブロックを生みだす。

 このような手法により、ブロックチェーンは「改ざんや改変に対して堅牢性を有するデータ記録の持続的に増殖するリストを維持」することができるという。

  マスターカードは昨年11月に即時決済のブロックチェーン技術の特許を申請しており、企業間決済を行うブロックチェーンシステムを昨年10月に発表している。また今月15日には、アイルランドでブロックチェーン技術の専門家など175人を新規に採用する計画を発表した。

 全般的にマスターカードは、「ブロックチェーン推進・反ビットコイン」の姿勢を貫いているようだ。マスターカード・ラボはこれまで「ブロックチェーン技術や仮想通貨関連の特許」を30件以上申請していると言われるが、同社のCEOが政府の裏付けのないアルトコインを「がらくた」とこき下ろしたのは有名な話だ。3月にマスターカードの幹部が中央銀行発行のデジタル通貨のみを受け付けると強調し、そのような姿勢がさらに鮮明となった