マレーシア証券委員会は今年7月、イスラム法(シャリア)のもとで、デジタル資産取引は許容されるとの判断を下した。同委員会の判断に関与した専門家は、仮想通貨(暗号資産)には大きな可能性があると発言している。
マレーシアの現地メディアは、マレーシア証券委員会のシャリア諮問委員会の議長であるモド・ダウド・バカ―ル博士の発言を伝えている。バカ―ル氏は、仮想通貨には大きな可能性があるが、資産クラスとして採用される上では理解不足からの課題に直面していると述べた。
バカ―ル氏は、10月6日にクアランプールで開始されたフィンテックカンファレンスで、マレーシア人の2%だけが仮想通貨についての知識を持っていると発言した。バカ―ル氏によると、仮想通貨はイスラム法のもとでは法定通貨とはみなされないが、合法的なコモディティとして扱われるという。
「これは交換の媒体であり、人々がコモディティを交換の媒体として使用することを止めることはできない。市場でeチケットやコモディティを購入するのと同じことだ」
デジタル資産が受け要られることは「マレーシアで非常に多くの興味深い分野を切り開くことになる」と指摘し、「仮想通貨が人々が購入して保有する投資資産と見なすことができるようになるだろう」と述べている。仮想通貨の可能性は「デジタル経済の世界の成長と同じくらいに大きい」とも発言した。
イスラム教において仮想通貨が認められるかどうかの問題は、いまだ議論となっているが、2018年にインドネシアのフィンテック企業のイスラム法専門家は、ビットコインがシャリアのもとで「一般的に許可される」との分析をしている。
マレーシアのシャリア諮問委員会は通常、イスラム金融機関の運営におけるイスラム法実施を監督する機関だ。今年7月、同諮問委員会は、デジタル資産取引はシャリアのもとで認められると宣言している。
マレーシアではイスラム教徒が60%以上を占めており、この諮問委員会の判断は、仮想通貨企業がより多くのイスラム教徒のトレーダーをデジタル資産分野に取り込む機会になるとも期待される。マレーシアには現在、3つの認可された仮想通貨取引所があるほか、バイナンスはマレーシアの法定通貨リンギットをサポートしている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン