リトアニア中央銀行、リトアニア銀行は仮想通貨に関する調査に着手し、民間銀行や規制機関、仮想通貨投資家らとの対話を始めた。現地メディアのバルティック・タイムズが15日に報じた。

 リトアニア中銀は、財務省や金融犯罪捜査局、銀行部門の代表者、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)関係者などを集めた仮想通貨の官民合同会議を開催した。

 リトアニア中銀でフィンテック戦略を担当するゴービナ氏は、仮想通貨はリスクを持つものの、「銀行部門がICOを実行する人々や取引所と対話する必要がある。対話の場はすでに作られており、私たちがどこへ向かおうとしているのかを探っていく」と話す。

 リトアニア中銀は昨年10月、ICOや仮想痛通貨への立場を述べた文書を出した。文書の中で、金融市場参加者は、自らの金融サービスとヴァーチャル通貨と関連するものとを分離するべきであると述べている。また仮想通貨を取り扱っている顧客に対しては、マネーロンダリングやテロ資金に対するリスクマネジメントと同じ取り扱いを求めた。

 バルティック・タイムズは、リトアニア中銀が伝統的金融サービスと仮想通貨関連の事業との「明確な分離」を求めたにもかかわらず、中銀はICOに必要なライセンスを「安く、早く」発行していくだろうと指摘する。リトアニアは「欧州のフィンテック・ハブ」を政策の目標にしており、英語でのライセンス申請も認めるという。

 リトアニアでの仮想通貨ビジネスが抱える問題の1つは、銀行との協力の難しさだと報道されている。ヴィリニュス・ブロックチェーンセンターのカセタ理事は次のように述べる。

商業銀行は、仮想通貨ビジネスとそのビジネスモデルの本質について理解していない。そのため、銀行は仮想通貨をリスクの高いビジネスとみなし、資金や投資に対しては追加の証明を求め、しばしば企業の口座開設を拒否している」

 これに対して、リトアニア銀行協会は対話は必要とする一方で、仮想通貨が違法行為に使われており、クライアントの資金源について証明を求める必要があると述べる。

「我々はお互いのビジネスモデルを理解するために対話を行うことに関心を有している。しかし、顧客保護、マネーロンダリグやテロ資金調達の防止は何事にも優先されなければならない。我々は今回の対話で、仮想通貨市場の参加者が資金の出所について明言できない場合があることがわかった。これは深刻な問題であり、仮想通貨の関係者はそのことを理解していない」

 昨年11月、リトアニア、エストニア、ラトビアのバルト3国の財務相は、ブロックチェーン推進などを含むフィンテック分野での協力に関する覚書に署名している。