LINEで仮想通貨・ブロックチェーン事業を展開するLVCの高永受(コ・ヨンス)社長は、9月からサービスを開始した仮想通貨取引サービス「BITMAX」で取り扱う仮想通貨を増やしていく考えを明らかにした。また米国への取引所進出、決済・送金分野でのブロックチェーンを活用する考えを示した。
高氏は、N. Avenueが主催するブロックチェーンカンファレンス「b.tokyo」に登壇し、LINEの仮想通貨・ブロックチェーン戦略を語った。
高氏は「LINKチェーン、トークンエコノミーという構想を発表したが、ユーザーにバリューを提供する場所が必要と考えた」とし、その上「ユーザーが安全に安心して利用できるサービスを提供したいと思ったため」、LINE自ら仮想通貨取引所を展開することになったと語った。
その上で、LINEの仮想通貨取引所について、取り扱い仮想通貨を増やしていく考えを示した。現在、BITMAXでサポートする仮想通貨はビットコインやイーサリアム、XRPなど5種類だ。
「LINEのIDとの連携、LINEペイとの連携、KYC連携など、使い勝手の良いサービスを提供できていると思う。現在はビットコインなど5つのコインを扱っているが、今後さらに仮想通貨は増やしていきたい」
LINEは昨年9月に、独自ブロックチェーン「LINKチェーン」を活用したトークンエコノミー構想を発表している。独自チェーン上で分散型アプリ(Dapps)を展開し、その経済圏で使われる「LINK」トークン(日本ではLINKポイント)がある
米国で仮想通貨取引所を準備中
また高氏は、米国で仮想通貨取引所を準備していることを明らかにした。
LINEは昨年、シンガポールを拠点に仮想通貨取引所「BITBOX」を開始した。しかし規制の関係から、BITBOXは日本と米国の居住者は利用できなかなった。
日本では今年9月から仮想通貨取引サービス「BITMAX」がスタートしたが、米国の居住者はまだLINEの仮想通貨取引所を利用できない状況のままだ。
LINEが米国でも仮想通貨取引所をスタートさせれば、すべての地域でサービスを提供できる体制が整うことになる。
決済分野でもブロックチェーン活用
高氏は、独自ブロックチェーン「LINKチェーン」を決済・送金分野でも活用する考えも示した。
「今年の上半期にはVISAとブロックチェーンについても戦略的提携を結ぶことを発表した。LINEペイでブロックチェーンをベースに決済と送金を可能にする新しいサービスを開発するなど、様々な分野でフィンテックのイノベーションを準備している」
独自ブロックチェーン、サードパーティにも開放
LINEの独自ブロックチェーン「LINKチェーン」を使ったトークンエコノミー構想では、自社サービスのDappsだけでなく、サードパーティにも開放する考えを示した。
「来年にはサードパーティにも開放し、さらなる価値を上げるために準備しているところだ」
外部企業へのソリューション事業も
LINKチェーンを活用したソリューション事業に向けて準備しているという。外部企業のサービスの競争力向上につなげる狙いだ。
その1つが著作権管理システムで、外部のパートナー企業とととみに検討を進めている段階だと明らかにした。
またLINEでサービスを提供している信用スコアなどの個人情報を取り扱う場合、ユーザー自ら管理・活用できるシステムなど、様々な可能性を検討しているという。