リブラ(LIBRA)トークンの創設者が、新たなミームコインを立ち上げたが、そのコインには、かつて99%の暴落前に大規模なインサイダー取引を示唆していたのと同様の不審なオンチェーンパターンが見られている。
公式メラニア・ミーム(MELANIA)およびリブラ・トークンの共同創設者であるヘイデン・デイビス氏が、新たにソラナ基盤のミームコイン「ウルフ(WOLF)」をローンチしたが、その供給量の80%超が内部関係者によって保有されている。
デイビス氏は、映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で知られるジョーダン・ベルフォートが独自トークンを発行するという噂に乗じて、3月8日にこのウルフ(WOLF)トークンを立ち上げた。
このトークンは一時時価総額4,200万ドルに達した。しかし、3月15日のBubblemapsのX(旧Twitter)投稿によれば、WOLFトークンの供給量の82%が単一のエンティティに集中していると指摘されている。
Bubblemapsはこう投稿した。
「バブルマップが示したのは奇妙な事実だった――$WOLF はヘイデン・デイビスが立ち上げた $HOOD と同じパターンを示していた。今回も彼の仕業なのか?」
Source: Bubblemaps
ブロックチェーン分析プラットフォームであるBubblemapsによると、デイビスが所有する「OxcEAe」というアドレスを起点に、17の異なるアドレスに渡って資金移動が行われていたという。
「彼は $LIBRA と $WOLF が立ち上がる数か月前からこれらのウォレットに資金を供給しており、17アドレスと2つのチェーンを通じて資金を動かしていた」とBubblemapsは指摘する。
Source: Bubblemaps
WOLFミームコインは、3月8日午前4時(UTC)に時価総額4,290万ドルのピークに達した後、わずか2日間で99%以上暴落し、記事執筆時点では57万ドルまで下落したとDexscreenerのデータは示している。
WOLF/SOL, market cap, 1-hour chart. Source: Dexscreener
デイビス氏の今回の新トークンのローンチは、リブラ・トークンが崩壊した数週間後に行われた。リブラの崩壊では、8つのインサイダーウォレットが1億700万ドルの流動性を引き出し、わずか数時間で時価総額40億ドルが吹き飛んだ。
リブラ・トークンは政治問題にも発展し、アルゼンチン大統領ハビエル・ミレイがリブラコインを支持したことから弾劾リスクに直面している。
また、アルゼンチンの弁護士グレゴリオ・ダルボンは、デイビスに対する「手続き的リスク」を理由にインターポールへの国際手配(レッドノーティス)発出を求めている。ダルボン氏は、デイビスが巨額資金へのアクセスを持ち、米国外逃亡や潜伏の恐れがあると主張する。
ミームコインが「個人投資家搾取ツール」に変質
ブロックチェーン規制企業Fideumの共同創設者兼CEOのアナスタシア・プロトニコワ氏によると、ミームコインは仮想通貨の本来の「分散化」理念に反し、近年増加するラグプル(詐欺的な資金持ち逃げ)などを通じて個人投資家の搾取に使われる事例が増えている。
プロトニコワ氏はコインテレグラフに対し次のように語った。
「ミームコインは、かつてのコミュニティ主導の社会実験から、個人投資家から価値を吸い上げるカオスな世界へと変化しました。インサイダー集団、ポンプ&ダンプ(相場操縦)、スナイパー集団が、かつてのオーガニックな収集価値を持ったミームコインの性質に取って代わり、不健全な市場環境を作り出しています」
投資家は、正当な「コレクティブル(収集品)」と見なせるミームコインと、「明確に違法で不道徳な」ラグプルのような詐欺行為とを区別する必要があると、プロトニコワ氏は警鐘を鳴らす。
「私見ですが、これらの行為は法執行機関の管轄下に置かれるべきです」
米国の規制当局も、こうしたミームコイン詐欺の増加を認識しつつある。
ニューヨーク州の議員は、仮想通貨詐欺を防ぎ、投資家をラグプルから保護するための刑事罰を創設する法案を提出したと、3月6日にコインテレグラフが報じた。
この法案では、「仮想トークン詐欺」に関する新たな犯罪類型が創設され、仮想通貨に関連する詐欺行為を明確に標的とすることになる。