昨年12月に行われた英国の総選挙で与党・保守党が圧勝したのを受けて、英国は欧州連合(EU)を離脱(ブレグジット)した。英国民から歓喜と悲鳴の両方が聞こえるブレグジットになったが、仮想通貨ハードウェアウォレット大手レジャーが、この機に乗じてブレグジットに関するあるスローガンを採用しようとしている。コインテレグラフに1月30日に共有された広告看板の試作品から明らかになった。

(ロンドンの金融街の1つ、カナリー・ワーフで設置が計画されているレジャーの広告)

広告看板に書かれているのは、「本当に自分たちのコントロールを取り戻そうぜ(Let's take back control for real)」という文字。2016年の国民投票でブレグジットに賛成が過半数を獲得した際に使われたスローガン「コントロールを取り戻そう(Take Back Control)」の修正版だ。

「コントロールを取り戻そう」は、反EUを掲げて、国境や経済政策を決める国家主権を取り戻そうと呼びかける意図がある。最近では、移民を制限するために国家が主導的に介入するべきという色合いが濃くなっている。

(出典:New Statesman archive via Google Images「ブレーキング・ポイント」ポスターの前に立つナイジェル・ファラージ投手」)

ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首が2016年に急進的な反移民政策のキャンペーンを推進したのは有名だ。移民の行列写真に「ブレーキング・ポイント(分かれ目)」見出しをつけた悪名高いポスターを使って「我々はEUから解放されることで我々の国境に対するコントロールを回復しなければならない」と述べた。

レジャーの意図は?

レジャーは、何に対するコントロールを取り戻すことを目指しているのか?それは、経済的な自由に対するコントロールだ。レジャーは「個人に対して完全な経済的自由が与えられるべきである」と考えており、「あなた個人が自分の資金をみんなが参加できるネットワークで責任を持って管理する」ことを理想としている。

レジャーはコインテレグラフに対して新たなポスターの意図を解説した。

「政治的なスタンスはさておき、キャンペーン自体は力強く、うまく実行されたものだった。とりわけ我々はこのスローガンが大好きだ。仮想通貨がどのようにして本当の意味で人々にコントロール権を復活されるのかを見た」

またレジャーは、ブレグジットと仮想通貨に「かなり似たようなテーマ」をみる一方、違いもあると指摘している。

「例えば、仮想通貨は境界のない経済的な自由である。一方でブレグジットはEUからの経済的な自由とともに国境を閉じることに焦点をあてている」

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翻訳・編集 コインテレグラフジャパン