イリノイ州の地方裁判所に提出された訴訟によると、ジャンプ・トレーディングがテラ・ラボと共謀し、アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD(UST)の価格操作に関与していた疑いが持たれている。5月9日の裁判資料によると、ジャンプ・トレーディングは2021年にUSTトークンを何百万ドルも購入し、その価値を1ドルに引き上げることを目論んでいたという。

原告のキム・テウ氏は、ジャンプ・トレーディングと同社CEOのカナフ・カリヤ氏が商品取引法と商品先物取引委員会(CFTC)の規制に違反し、不当利得を得たと主張している。

訴訟によれば、ジャンプ・トレーディングはテラフォーム・ラボの初期パートナーであり、主要な資金提供者であったという。2019年11月から2020年9月の間に、ジャンプ・トレーディングはテラフォームとその関連会社との間で、「テラから何千万ものLUNAトークンを借りる」「LUNA、UST、aUSTの取引に市場メイキングサービスを提供する」といった合意を複数回結んでいた。その見返りとして、ジャンプ・トレーディングは大幅な割引でLUNAトークンを購入する機会を得ることができ、それを市場に売り戻して利益を上げたという。

訴状によれば、2021年5月、テラのエコシステムが崩壊するちょうど1年前に、USTのアルゴリズムが1ドルのペッグを維持できない状況が発生し、テラフォーム・ラボ(TFL)とド・クォンCEOがトークン価格を支えるために取引を調整したとされる。

「TFLのアルゴリズムがUSTのペッグ価格を維持できななくなり、TFLとクォン氏は、被告であるジャンプ・トレーディングと共謀し、USTとaUSTの市場価格を操作するために秘密裏に調整された取引を行った」

この計画では、ジャンプ・トレーディングが2021年5月23日から27日の間に6200万以上のUSTトークンを購入し、USTの価格が人工的に1ドルに上昇し、さらにaUSTの価格も上昇させたという。

市場操作に対する報酬として、テラフォーム・ラボとクォン氏は「当初の合意を変更し、ジャンプ・トレーディングに対して現行市場価格から99%以上の割引で6140万LUNAトークンを無条件で譲渡することで合意した」という。訴状によれば、ジャンプ・トレーディングは後にこれらのLUNAトークンを市場に売り戻し、約12億8000万ドルの利益を上げたと主張されている。

3月14日のブルームバーグの報道によれば、米国検察当局は、ジャンプ・トレーディング、アラメダ・リサーチ、ジェーン・ストリート・グループが関与するテレグラムのチャットグループで、テラUSDの救済案が議論されていることを調査している。

米国司法省もまた、昨年5月にテラ・エコシステムで400億ドルが消失したステーブルコインの崩壊を捜査している。同省内の2つの機関である連邦捜査局(FBI)とニューヨーク南部地区検察局はこのほど、テラフォーム・ラボの元スタッフを尋問している。クォン氏は3月に、偽の書類を使用したとしてモンテネグロで逮捕された。韓国と米国の当局はクォン氏の身柄引き渡しを求めている。クォン氏は5月12日に40万ユーロの保釈金で釈放され、現在は自宅軟禁下にある。