米仮想通貨取引所ビットメックスの親会社であるHDRグローバル・トレーディングに対し、米判事が2年間の執行猶予と1億ドルの罰金を言い渡した。
ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所で行われた審理において、ジョン・コートル判事は1月15日、ビットメックスが米国銀行秘密法(BSA)に違反し、「実質的な」マネーロンダリング防止(AML)プログラムを運営していなかったとして、約6カ月前に罪を認めた同社に対し判決を下した。
ビットメックスは、2024年7月にこの告発を「周知の事実」と称し、当時は追加の罰金が科されることはないと予想していた。
米国検察官事務所は、ビットメックスが顧客確認(KYC)基準を伴うAMLプログラムを実施せず、代わりにユーザーにメールアドレスの提供のみを求めることで、BSA要件を「無視した」と主張した。判決後にビットメックスがユーザーに向けて発表した声明では、BSA違反に関する告発を「周知の事実」と再度主張し、次のように付け加えた。
「追加の金銭的罰則が科されたことに失望しているが、その金額は過去3年以上にわたり司法省が追及してきた額よりもはるかに少ないものだ」
米政府は2024年12月の裁判所への量刑提出書において、ビットメックスが2015年から2020年までのBSA違反の一環として米国から1億5500万ドルを不正に得たと結論付けるよう求め、4億1700万ドルの罰金を科すよう要請していた。しかし、裁判所は量刑審理の一環として、暗号資産企業に対する未解決のすべての訴えを却下した。
刑事および民事訴訟の終結へ
1月15日の判決は、ビットメックスに対する刑事事件の一部であり、同社とその幹部は米国規制当局と個別に和解していた。ビットメックスの共同設立者であるアーサー・ヘイズ、ベンジャミン・デロ、サミュエル・リードと従業員のグレゴリー・ドワイヤーは、BSAに違反したとして2022年に執行猶予の判決を受けた。
また、2022年にはヘイズ、デロ、リードが米商品先物取引委員会(CFTC)との民事訴訟の一環として3000万ドルの罰金支払いを命じられた。2021年には同社がCFTCおよび米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に合意金1億ドルを支払うことに同意している。
今回の量刑は、約4年間にわたるビットメックスおよびその幹部に対する米国の刑事・民事訴訟が終結に向かう兆候とみられる。ヘイズ氏は2020年に同社の役職を辞任し、2021年にBSA違反に関する告発により米当局に出頭した。