金融機関大手JPモルガンの専門家は、ブロックチェーン技術が銀行と決済システムに利益をもたらすと分析している。ブルームバーグが29日に報じた。

JPモルガンでグローバルリサーチの責任者を務めるジョイス・チャン氏は、ブルームバーグのインタビューの中で「ブロックチェーンはグローバルな決済システムを再発明するわけでないが、わずかな改善をもたらすだろう。最も意味のあるインパクトは、3年から5年先に現れるだろう。そしてそれは貿易金融が主なものになる」と話す。

チャン氏が率いる調査チームのレポートによれば、貿易金融でのブロックチェーン技術の応用が進むという。ブロックチェーンによってデジタル化・効率化といった潜在的利益が見込めるためだ。チャン氏によれば、世間的には仮想通貨が最も注目を集めているが、分散型台帳技術の方がより重要となるという。

チャン氏は、JPモルガンが手掛ける銀行間送金ネットワーク「Interbank Information Network(INN)」を取り上げている。これはJPモルガンが開発したブロックチェーン「クォーラム(Quorum)」をベースにしたもので、世界各国の157の銀行が傘下している。この組織は、銀行間で情報共有を加速させ、決済取引の迅速化を目指している。

レポートによれば、BBVAやスタンダールといったスペインの銀行が、ブロックチェーン技術に積極的だ。18年12月にBBVAはブロックチェーン技術を活用した1億5000万ユーロの融資を行った。BBVAは昨年4月、世界で初めてブロックチェーン技術を使ったローンを行った銀行だ。

ブロックチェーン技術が金融サービスに幅広く適用される始めている一方で、チャン氏はこの技術が4つの課題に直面していると指摘する。それはスケーラビリティ、統合、コスト効率、規制の4つだ。