米金融大手JPモルガン・チェースが、ブロックチェーンおよび仮想通貨分野での事業拡大を進めており、仮想通貨取引サービスの提供計画を検討していることが明らかになった。ただし、仮想通貨の直接カストディ(保管)については現時点で計画がないという。
JPモルガンのグローバル・マーケットおよびデジタル資産部門責任者であるスコット・ルーカス氏は、月曜にCNBCの番組に出演し、シティバンクのように顧客資産をカストディする計画があるかを問われた。
ルーカス氏はこれに対し、「少なくとも短期的には視野に入っていない」と述べつつ、仮想通貨取引サービスの提供を検討している点を強調した。
「ジェイミー(・ダイモンCEO)は投資家向け説明会で、我々が仮想通貨取引に関与していくことを明言した。ただし、現時点でカストディは検討対象にない」
さらに、「どの程度のリスクを許容できるか、どの領域まで踏み込むかについては、まだ議論の余地がある。カストディについてはその後になるだろう」 と述べ、社内のリスク許容度が重要な要因になると説明した。
JPモルガンの仮想通貨アプローチ
ルーカス氏はインタビューの中で、JPモルガンが採用している“and(アンド)アプローチ”についても言及した。
「我々は『既存市場』と『新しい機会』の両方を追求しており、どちらか一方に絞るのではなく“and”の姿勢で臨んでいる」
つまり、伝統的な金融市場の枠組みを維持しながら、同時に新しいデジタル資産分野の機会も積極的に取り込むという方針だ。 2025年に入ってから、JPモルガンはコインベースなど業界大手との提携を通じて、仮想通貨・ブロックチェーン分野への関与を拡大している。
この動きの背景には、かつて仮想通貨に批判的だったジェイミー・ダイモンCEOの姿勢の変化がある。ダイモン氏は2025年8月、「ステーブルコインの信奉者になった」 と発言し、ブロックチェーン技術の価値を認める姿勢を示した。
ルーカス氏は、6月にBase上でパイロット運用を開始したJPモルガンのデポジットトークン「JPMD」についても触れ、次のように語った。
「JPMDには大きな可能性があり、顧客のキャッシュ関連ニーズに対して新しいサービスを提供できるチャンスがある。さらに、ステーブルコインのようなソリューションを求める顧客需要にも対応していくつもりだ」
同氏はまた、「規制の枠組みがようやく明確になりつつあり、我々の戦略も進化の途上にある」 と付け加えた。
イーサリアム一強ではない
ブロックチェーン全体の展望について、ルーカス氏は「イーサリアム一強の未来」には懐疑的な見方を示した。
「市場を支配する単一のネットワークが存在するとは思っていない。むしろブロックチェーン空間では新しいレイヤー1ネットワークが次々登場している」と述べた上で、「パブリックブロックチェーンの領域には多くの機会があり、我々も今後数四半期で積極的に関与していく予定だ」 と複数のチェーンでの展開を示唆した。
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