JPモルガンの最高経営責任者(CEO)であるジェイミー・ダイモン氏は、長年にわたり仮想通貨に懐疑的な立場を取ってきたが、7月30日のCNBCのインタビューで「ステーブルコインは信じている」と発言し、ブロックチェーン技術の価値も認める考えを示した。
インタビューの中でダイモン氏は、JPモルガンの仮想通貨分野への進出は同社の意向ではなく「顧客の要望」によるものだと述べた。
「われわれは顧客に応じて対応する。JPモルガンが望むかどうかではなく、顧客が望んでいるかどうかだ」と語り、あらゆる金融商品にはリスクがあると付け加えた。「リスクのない新しい金融商品など存在しない」との認識を示している。
JPモルガンは近年、仮想通貨分野での存在感を急速に拡大している。ダイモン氏は7月中旬、同行が「デポジットコイン」や広範なステーブルコイン発行を通じてこの領域に関与する意向を明らかにし、「理解し、熟達するためだ」と説明した。
ダイモン氏の仮想通貨観の変遷
今回の発言は、仮想通貨に対するダイモン氏の長年にわたる姿勢の変化を物語っている。
2017年、同氏はビットコインを「詐欺」と呼び、「空気から通貨を生み出せるようなビジネスは成立しない」と断言。オランダのチューリップバブルになぞらえて「ビットコインはチューリップよりも悪質だ」とも述べた。また、当時のJPモルガンで仮想通貨を取引するトレーダーを見つけた場合は即解雇するとまで発言していた。
2018年には、ビットコインを「ペットロック(観賞用の石)並みに無用」と断じ、違法取引に使われている点を批判しつつも、ブロックチェーン技術には一定の価値があると認めていた。
2024年1月の世界経済フォーラム(ダボス会議)でも、「ビットコインは何の役にも立たず、本質的価値がない」と述べていた。
2025年1月に入っても、ダイモン氏はビットコインが「人身売買、マネーロンダリング、ランサムウェア」などに悪用されていると懸念を示しながら、ブロックチェーン技術の活用可能性については引き続き評価している。
コインベースとの提携も発表
ダイモン氏のスタンスに変化は見られるものの、JPモルガンの仮想通貨分野への積極的な関与を見れば、これは時間の問題だったと言えるだろう。
7月30日、同行はコインベースとの提携を発表。2025年秋から、同行のクレジットカード保有者がコインベースを通じて仮想通貨を直接購入できるようになる。
さらに今月、フィナンシャル・タイムズ紙は匿名筋の話として、JPモルガンがビットコインを担保とした直接融資の提供を検討しており、2026年にもサービスを開始する可能性があると報じている。
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