参議院議員(日本維新の会)の藤巻健史氏は、14日に開かれた参議院の財政金融委員会で仮想通貨の税制について発言し、現在の雑所得ではなく、譲渡所得に分類されるべきと主張した。

藤巻氏は、仮想通貨の税率について、いずれは源泉分離20%にするべきという見方を示したが、少なくとも現状では、総合所得の中でも雑所得ではなく、譲渡所得にするべきではないかと指摘。麻生財務大臣や国税庁の担当者と意見交換をした。

資産の譲渡による所得である譲渡所得の場合、5年以上保有していると、その期間にかかる譲渡益の2分の1に同じ税率がかかる。また、雑所得では損益通算ができないが、譲渡所得の場合は可能だ。損益通算とは、一定の所得に計算上損失が生じていた場合、他の所得からその損失金額を差し引くことができる制度だ。

こうしたことから、仮想通貨の税制では、譲渡所得を採用したが良いのではないかというのが藤巻議員の見方だ。

一方、国税庁の担当者によると、譲渡所得に起因する資産は、一般的には経済的価値が認められて取引の対象とされ、増加益が生じるようなすべての資産が含まれる。しかし、その増加益が、資産の価値の増加益とは異なる性質を持つ資産については、譲渡所得の起因となる資産には該当しない。国税庁の担当者は、仮想通貨が譲渡所得に該当するかどうかに対して、次のような見解を示した。

「暗号資産(仮想通貨)に関しては資金決済法上、対価の弁済のために不特定の者に対して使用できることができる財産価値と規定されており、消費税法上も支払い手段に類するものとして位置づけられていることから、外国通貨と同様に、その譲渡益等は、資産の値上がりによる譲渡所得とは性質を異にするもので考えている。従って国税当局としては、いやゆる暗号資産の譲渡による所得は、一般的に譲渡所得に該当せず、雑所得に該当すると考える」

これに対して藤巻議員は、譲渡所得での区分が不可能でないなら、国にとって何が一番良いかという観点で税の区分を考えればよいと提言。「譲渡所得における資産とは、譲渡性のある財産権をすべて含む概念でビットコイン等の仮想通貨などがそれに含まれる」という学説を紹介し、わざわざ雑所得に入れる必要はないのではないかと呼びかけた。

日本と仮想通貨税制

円暴落とハイパーインフレが進み仮想通貨が避難通貨として使われるようになると予想する藤巻氏。現在議員として力を入れるは、仮想通貨の税制だ。「税金というのは単にお金を集めるというのではなく、国の方向を決める」とその重要性を強調する。

2017年、国税庁は「仮想通貨での売買益は雑所得(総合課税)、他通貨に交換した時も課税、仮想通貨で商品・サービスを購入した時も課税」と発表。これに対して、藤巻氏は、総合課税から20%の源泉課税にするべきと主張している。

「税務局というのは税の論理だけで考えますから、一つは致し方無いと思いますが、だからといって税金で国がほろびてはいけない。総理大臣が先頭に立って、税制はこうあるべきだといって税制を変えるような方向持っていかないと日本の将来はないと思うんですよね」

先月、楽天の三木谷浩史社長が代表理事を務める新経済連盟が、仮想通貨規制に対する要望書を発表し、仮想通貨への税率を株やFXと同じように20%にするように求めた。藤巻議員は、この発表を歓迎し、「ぜひ連携を模索したい」と述べていた。