日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は11日、暗号資産の課税方法を20%の申告分離課税にすることを求める税制改正要望書を公表した。これはJCBAの税制検討部会が中心となり、日本暗号資産交換業協会(JVCEA)と共同で作成したものだ。
今回の税制改正要望では、1万人以上への仮想通貨投資家へのアンケート調査・データ分析を実施し、分離課税導入によって税収増加の効果などがあることを訴えている。
具体的な要望内容としては、20%の分離課税の導入と3年間の損失繰越、また現物だけでなくデリバティブ取引にも適用することを求めている。
「暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。暗号資産デリバティブ取引についても同様とする」。
JCBAでは分離課税の導入について、①税務申告の促進、②税の公平性や制度内の整合性確保、③海外との競争力確保の3つの観点から、その必要性を訴えている。
特に①については、投資家アンケートの結果、現在の税制を理由に含み益があっても利確しなかったり、損失繰越がないため損失があるときに申告しないといった傾向が認められた。分離課税・損失繰越が導入されれば、こういった傾向が解消され、投資家の利益確定による税収増加や、税務申告増加による税の捕捉性向上といった効果が期待できると主張している。
JCBAの税制検討部会ではアンケート結果のデータを分析し、分離課税導入によって暗号資産の税収が最大52%増加すると予想している。
ユースケース創出の試みも
またJCBAでは、仮想通貨が投機でしかないという批判に対応するため、自ら暗号資産のユースケース創出にも乗り出す。11日に地方自治体やNPOをデジタル資産で支援する案件の公募を始めた。
イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO)による地方自治体の資金調達案件やデジタル地域通貨の活用案件などを想定し、JCBAとしてプロジェクトの支援を行うという。