ブロックチェーンを活用した新たな金融システム構築を目指すレヴィアスは、先月25日、STO(セキュリティー・トークン・オファリング)による資金調達「J-STO」に成功したと発表した。一般的に株など既存の金融商品を紐づけたトークンと定義されるセキュリティー・トークン。レヴィアスのディレクターである小町博幸氏は、コインテレグラフ日本版に対して、細分化などによって既存の流動・不動資産の流動性が高まることをSTOの利点としてあげた。

海外で先行するSTOだが、日本でも盛り上がりを見せ始めている。レヴィアスのJ-STOは、現行の日本法の枠組みの下で組成された事業型ファンド(集団投資スキーム)が行うSTO。レヴィアスが商標出願中のブランド名だ。J-STOにおけるセキュリティー・トークンは、匿名組合(事業型ファンド)の契約上の地位を紐づけたトークンであり、出資者には出資する代わりにセキュリティトークンが付与される。また発行体の事業から利益が出れば、利益配当も受け取れる。

(出典:レヴィアス)

レヴィアスが今回STOの実証をしたのは匿名組合という資産だが、技術的にはセキュリティー・トークンに紐づけられる流動・不動資産は他にも株や不動産など数多くある。小町氏は、金融庁の改正案の詳細が出るのを注視しつつ、他の流動・不動資産に関して「セキュリティー・トークンを紐づけて良いのか、または紐づける必要があるのか」検討していくと話した。

セキュリティー・トークンのメリットについては、24時間取引が可能であることや新たな投資対象の創出などがあげられ、将来的なセキュリティー・トークンの取引所や流通市場が整備されることによって資産の流動性が高まる可能性がある。

​​小町氏によると、匿名組合契約は出資して配当を得た後、最終的に元本が償還される(ただし配当や償還が保証されるものではない)もので、投資家Aがその持分を投資家Bに譲渡する場合、まだ国内のセカンダリーマーケットがない状況下において取引相手を見つけるのは容易ではない為、転売行為が活発的に行われるものではないという。しかし、将来的にセキュリティートークン取引所や流通市場ができれば、セキュリティートークンの取引によってそれらの流動性が向上する可能性を指摘した。​

​「良いなと思って購入したものの(投資対象を)変えたいといった時、自分が買ったものに対して他の人が買いたいという事があるかもしれない。また、半分だけ買ってくれるという場合もあるかもしれない」

小町氏によると、レヴィアスのJ-STOスキームに対して国内外の企業からの問い合わせは多いという。

STOに対する期待の声は大きい。先日、仮想通貨取引所Quoineの代表取締役Head of CEO Officeである紺野勝弥氏は、金融庁の改正案について世界の仮想通貨規制をリードしていると高く評価し、今後、STOが仮想通貨業界をリードするという見方を示した