イラン政府は、仮想通貨マイニングを商業行為として正式に承認した。同国のメヘル通信社が7月29日に報じた。28日に行われた閣議で決定した。7月にイラン政府の経済委員会が同様の決定をしていたが、政府の最高レベルで正式に認められた形だ。

今回の正式承認により、マイニングを実施する事業体は、同国の産業鉱業省からライセンスを取得する必要がある。

多くの専門家が、イランにおける仮想通貨の合法化に向けた第一歩となるとしている。米国からの制裁の打撃に対抗する手段になるとの見方もある。

既報の通り、同国の経済委員会が原則承認し、閣議で議論されるとしていた。同委員会のトップは、「仮想通貨産業は、税金面での利点を考慮して、国内で正式な商業として承認されるべき」と発言している。またイラン中央銀行のヘンマティ総裁は、マイニングしたビットコインを国外に流出させるのではなく、国の経済の貢献に使うべきだとも話している。

しかし、イラン国内の取引に仮想通貨を使用することは依然合法ではなく、同業界に従事する者は、同国政府や銀行による保証は一切なく、リスクに対する責任を負わされる。

中国のマイナーがイラン進出か

今回イランの決定により、電気料金の安さを見込んで、中国などの仮想通貨マイナーがイランへ移転してくる可能性もある。イランの国営メディアPressTVは、中国のマイナーがイラン進出に向けた動きをしていると報じている。イランのブロックチェーン業界の関係者に中国のマイナーから進出に向けた打診があったという。

マイニングによる電力問題も

一方で、イランでは仮想通貨マイニングによるエネルギー消費急増により電力網が不安定化しており、イラン政府は、マイニング事業者への電力供給を遮断する意向を示していた。今年6月、当局は、2ヵ所の仮想通貨マイニングファームから約1000台のビットコイン(BTC)マイニング機器を押収している。AP通信によれば、イランの電気業界は最近、仮想通貨マイニングの電気料金を1キロワット当たり7セントまで引き上げると示唆した(現在は0.5セント)。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版