米上院で可決されたインフラ法案HR3684で仮想通貨条項の修正が失敗に終わったため、仮想通貨「ブローカー」の定義を明確にする戦いは、米国下院で行われるようだ。

上院は10日、69対30の投票でHR3684を可決した。この法案は、道路や橋、主要なインフラプロジェクトに約1兆ドルの資金を提供することを提案するインフラ法案。この法案では、仮想通貨を取り扱う事業者に対する厳格なルールの実施や、ブローカーに対する報告義務の拡大を提案。1万ドル以上のデジタル資産取引をIRSに報告することを義務付けていたことなどが業界の成長を妨げるとして、修正案が出されていたが試みは失敗に終わった。

当初、修正案には2種類提示されていたが、パット・トゥーミー氏、シンシア・ルミス氏、ロブ・ポートマン氏、マーク・ワーナー氏、クリステン・シネマ氏、ロン・ワイデン氏の上院議員が9日に妥協修正案を提案した。この修正案では、ソフトウェア開発者、トランザクション検証者、ノード運用者を仲介者として除外する一方で、税務申告義務は「仲介者にのみ適用される」としていた。

法案内の仮想通貨に関する文言を明確にする修正案が盛り込まれなかったが、ポートマン、ワーナー、シネマ、ワイデンの各議員は、インフラ法案に賛成票を投じ、ルミス氏とトゥーミー氏だけが反対票を投じた。ペンシルバニア州選出のパット・トゥーミー上院議員は、法案に賛成しなかった理由として、「あまりにも高価で、あまりにも広範囲で、あまりにも無報酬で、革新的な仮想通貨経済を脅かすもの」と述べた。

「この法案は、将来の技術革新を脅かす、ひどく欠陥のある、場合によっては実行不可能な仮想通貨の税務報告義務を課すものだ」と、上院での法案可決を受けてトゥーミー氏は述べた。

上院議員の一人であるアラバマ州のリチャード・シェルビー氏が9日にインフラ法案への妥協案の導入に反対したため、最終投票の前に法案への追加ができなかった。しかし、下院議員は、下院での採決およびジョー・バイデン大統領による法案への署名に先立ち、仮想通貨に関する文言を修正するチャンスがある。

この法案が下院で審議されるのは、おそらく今年の後半となる。