米通貨監督庁(OCC)が連邦銀行や連邦貯蓄組合のデジタル活動に関する規則案へのコメント要請について、仮想通貨(暗号資産)業界の主要プレイヤーから多くの要請が集まっている。OCCに対し、主に銀行が仮想通貨を扱い、ブロックチェーン技術を使用する権限を拡大するように求める声が多数で、このほど認可された仮想通貨カストディに続いて、対応を求めている。

ブロックチェーンを使った転送とドルの競争相手としての新たなステーブルコイン

仮想通貨に特化した商業銀行のシルバーゲート銀行はOCCに対し、銀行間で顧客口座に送金するための効率的な方法としてブロックチェーンを活用することを要請した。シルバーゲート銀行はこのシステムのユースケースとしてUSDCやテザー(USDT)といった米ドル裏付けのステーブルコインを挙げている。

「ブロックチェーン技術は価値の移転ができるネットワークとしてのユースケースを提供している。米ドルを裏付けにした様々なステーブルコインで実証されるように、多くの企業はユースケースを拡大するための方法を模索している。しかし、金融機関など規制対象となる事業体向けに適切なガイダンスが提供されておらず、既存のフレームワークの中で活動せざるを得ない状況になっている。」

仮想通貨ロビー団体であるブロックチェーンアソシエーションも同様に、ステーブルコインプロジェクトを賞賛。OCCに対し「銀行が支払いを決済し、ドル基盤のステーブルコインを預金として受け入れることを容認する」ように求めている。

さらに分散型ネットワークを推進するシンクタンクであるコインセンターは、プライバシー技術を銀行がサポートすることを提唱。以下の2点を検討するように求めている。

「(1)ビットコイン取引のために、コインジョインのようなトラストレスの取引が可能なミキシング技術(2)」ジーキャッシュやモネロといったプライバシーを強化した仮想通貨」

OCCと銀行のビジョン

ブロックチェーンアソシエーションが指摘するように、米国で活動しコンプライアンスを遵守している仮想通貨企業であっても、基本的な金融サービスを提供できないでいる。こうした現状はユーザーにとって不利益であり「安全で健全な金融サービスである仮想通貨ビジネスへアクセスできないことは、最終的に米国の消費者にリスクをもたらす」と指摘している。

OCCは米国の連邦公認銀行の規制を担当する米国財務省内の組織。仮想通貨取引所コインベースで最高法務責任者を勤めていたブライアン・ブルックス氏がOCCトップについてから、仮想通貨への取り組みが増加している。7月にはOCCが銀行に仮想通貨カストディ業務を許可したことが発表された

OCCの責任者であるブルックス氏は7月の仮想通貨カストディの業務を許可したことは米国の銀行の近代化の一つであるとし、「貸金庫からバーチャルの保管庫まで、銀行が今日の顧客の金融サービスにおけるニーズを満たさなければならない」と述べていた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン