独スタートアップ、54億円調達後にCEOが失踪

 ドイツを拠点とするスタートアップのセーブドロイドが、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)と民間からの出資で5000万ドル(約53億7000万円)を調達した後、姿を消したようだ。ドイツ経済誌ヴィルトシャフツヴォッヘ( WirtschaftsWoche)が18日に伝えた。

 創業者のヤシン・ハンキルCEOは18日にエジプトとみられる場所からツイッターに投稿しており、これを読むと失踪の意図がはっきりと読み取れる。

 @YassinHankir みんなありがとう!通信終了... #セーブドロイドICO

 セーブドロイドICOのウェブサイトでは、画面全体にサウスパークのミームが表示されるだけだ。

its gone

 ソーシャルメディアはこの明らかな失踪詐欺に即座に反応した。ビットコインの代替コイン、ビットコイン・ワン(BTCONE)と名付けられたアカウントは、ツイッターに、セーブドロイドが詐欺だと判明した場合、被害者に10万BTCONEを寄付するとの投稿を寄せている。ユーチューブユーザーのテオ・グッドマンは18日に動画を投稿し、セーブドロイドの事務所とみられる部屋が空になっている様子とともに、「本当に何も確認できない」と伝えた。

 

 ファイナンス・マグネイトによると、多くのICOではBTCとETHしか認められていないのに対し、セーブドロイドでは56種類の仮想通貨でICOに参加できたという。

 セーブドロイドの唯一の公式オンラインらしきものは、企業の説明とともに残されている。サブレディットの/r/savedroid_icoのページでは、セーブドロイドの企業説明欄に「普通預金のようにシンプルに仮想通貨の投資ができるユーザーインターフェースを構築する。我々の使命は、導入を阻む障壁を取り除き、仮想通貨を誰でも利用できるものにすることだ」と記されている。

 ツイッターに皮肉たっぷりの投稿を行ったハンキルCEOは17年に、ドイツ取引所のフィンテックハブのインタビューで自身の成功について語っている。さらにドイツ取引所ベンチャーネットワークは、セーブドロイドの17年の資金が2000万ポンドだとするハンキルCEOの話を伝えている。

 セーブドロイドをよく知るドイツのフィンテック企業の創業者が、ヴィルトシャフツヴォッヘの取材に応じ、これは一種のPRで、テスラのイーロン・マスクがエイプリルフールにしでかしたようなものかもしれないと語った。

 サブレディットの/r/savedroid_icoのページに18日に寄せられた投稿では、すべての経営陣がセーブドロイドICOのテレグラムグループを去ったとも伝えられている。このテレグラムグループには5万1000人以上のメンバーが登録されているが、現在はさまざまな詐欺グループやボットに乗っ取られ、数字のリストや「隠れられない、君のことが心配」との文言が繰り返し表示されるという。

 コインテレグラフは18日、仮想通貨史上最大級の5件の詐欺を伝えた。このうち被害額が最大のものはベトナム人グループによるもので、2つのICOを介し投資家たちから6億6000万ドルを盗んだと伝えられたが、経営陣はその後も沈黙を守っている。