詐欺に引っかからないためには?仮想通貨詐欺まとめ

 仮想通貨の誕生により、取引記録を確認する方法に革命がもたらされた。しかしながら、過去9年間に起きた大きな詐欺事件の要因ともなっているのも事実だ。革新的な方法でブロックチェーン技術を導入している業界は、ビットコインや数多のアルトコインの成功により活性化された。

 天才たちが、ブロックチェーンや仮想通貨の力に裏付けされた、勢力図を変えるような会社を創業した一方で、悪意ある者たちも時流に乗り、手の込んだ計画で無知な投資家から金を巻き上げている。

ICOブームによる巨額詐欺

 ビットコインが09年に立ち上げられて以来、人々はブロックチェーン技術の概念にますます惹き付けられている。やがて開発者や企業の頭脳たちは、分散型台帳テクノロジーを使った独自ソリューションを生み出し始めた。

 これがイーサリアムなどの仮想通貨の開発につながった。昨年のイニシャル・コイン・オファリング(ICO)ブームの部分的な立役者はイーサリアムと言えるだろう。

 ICOは基本的に、一定期間の公的な資金調達のことであり、テック系のスタートアップが立ち上げることが多い。企業は投資してくれそうな人々に自社の仮想通貨トークンを販売し、投資家はその企業が製品を生み出し、トークンの価値が上がることを期待して購入する。

 ICOは、従来型の企業が株式を一般人が買えるようにする新規株式公開(IPO)と同じようなものだ。事実、「ICO」という呼び名はそこから来ている。将来の計画通りにいくという保証がないことを踏まえると、ICOに出資するのは、その企業を信頼して賭けを行うようなものだ。当然のごとく「ICO」と銘打った詐欺行為が横行する結果となり、何千人もの投資家が資金を失っている。

 以下に、これまでの5大ICO詐欺を紹介する。

ピンコイン(Pincoin)とアイファン(iFan)

 直近で大規模なICO詐欺がニュースになったのは今月のことだ。ベトナムを本拠地とする企業が実施した2つのICOで、約3万2000人の投資家が合計で6億6000万ドル(約710億4000万円)をだまし取られたと言われている。

 問題の企業「モダン・テック」は先月ホーチミン市の事務所をたたみ、集まった資金を持ち去った。ICO史上最大の詐欺事案だと思われる。会社が現金引き出しに応じないという事態が起きた後、複数の投資家が8日に、もぬけの殻となった市内の事務所の外で抗議を行った。市当局は警察に捜査を命じている。

 2つのICOは連鎖販売取引詐欺と認定された。アイファンはソーシャルメディアのプラットフォームに広告を出し、有名人がファンに宣伝していた。一方ピンコインは、ひと月に40%の投資利益を約束していた。プロジェクトの内容は、広告ネットワークやオークション・投資ポータルサイト、ピアツーピアのマーケットプレイスを網羅した、オンラインプラットフォームをブロックチェーン技術に基づいて構築するというものだった。

ワンコイン(OneCoin)

 ここ1年半の間、ワンコインは複数の捜査の対象となっている。昨年7月にインドで「明らかなポンジスキーム」と公式に認定されたワンコインは、2か月後にイタリア当局から250万ユーロ(約3億3000万円)の罰金を課された。

 コインテレグラフは以前、「ワンコインは正式の分散型仮想通貨すら持っていない」と報じ、近付かないように読者に警告していた。さらに公的な台帳も存在せず、ブルガリアの事務所には1月に家宅捜索が入った。サーバーは当局に押収され、同社に対する国際的な捜査と訴訟は継続中だ。各国で起きた事件を総合すると、ワンコインが大規模な詐欺であることは間違いない。

 16年には、国内のワンコインの実態を捜査していた中国当局によって3000万ドル以上が押収されている。会社側は昨年ベトナムでも正式な認可を取得したと述べていたが、後に政府がそれを否定した。タイやクロアチア、ブルガリア、フィンランド、ノルウェーを含む5か国以上で、同社への投資に伴うリスクについて注意喚起されている。

ビットコネクト(Bitconnect)

 長い間ポンジスキームと糾弾されていたビットコネクトは、米国の2つの金融規制当局から停止命令が出されたのを受け、1月に操業を停止した。ユーザーは、昨年1月に立ち上げられたビットコネクト・プラットフォームでビットコインをビットコネクトコイン(BCC)に交換し、桁外れの投資利益を約束されていた。

 さらに融資プログラムも行っており、他のユーザーにBCCを融資すると、プラットフォームで貸したBCCの額に応じて利息が受け取れる仕組みだった。また、典型的なポンジスキームの紹介システムもあった。何人かのユーザーはその後ビットコネクトに対し集団訴訟を起こし、損害を取り戻そうとしている。この訴訟だけでも被害額は70万ドルに上る。

プレックスコイン(Plexcoin)

 このICOは、投資利益をうたう典型的なポンジスキームと認定された後、昨年12月に摘発され未遂に終わった。証券取引委員会(SEC)が業務停止を命じる前、プレックスコインは、ひと月に1300%を超える投資利益を約束していた。

 プレックスコインのICOでは1500万ドル以上が集まった。幸いなことにすべての資金がSECによって凍結され、創業者のドミニク・ラクロアは収監された。興味深い点として、この事案はSECがサイバー犯罪部門を使ってICOに介入・摘発した初の例となった。プレックスコインの提案内容も証券と見なされたため、SECが告発を決めた。

セントラテック(Centratech)

 ボクシングのスーパースターであるフロイド・メイウェザーやDJキャレドといった著名人が宣伝していたセントラテックは、仮想通貨を法定通貨に交換できるというビザとマスターカードのデビットカード計画により、にわかに注目を集めた。その後ICO関連の詐欺罪で創業者3人が逮捕されている。SECは、創業者らが投資家をだますために行った入念な計画を明らかにした。

 「創業者のシャルマとファルカシュが、ICOのプロモーションのために見映えのする経歴を持った架空の幹部をでっち上げ、虚偽または誤解を招くようなマーケティング資料を自社のウェブサイトに掲載し、著名人に報酬を支払ってICOをソーシャルメディアで宣伝させた」とSECは指摘している。

 SECは禁止命令を検討しており、シャルマとファルカシュの両者には、だまし取った資金に利子を付けて返還させるという。2人は企業の幹部や重役になることが禁じられ、いかなる債券発行への関与も禁止される見通しだ。

投資家よ、賢くあれ

 これら5つの事案が示すように、詐欺師たちは何も知らない投資家をだますためにかなりの手間をかけてくる。投資の決定においては、投資家自身が適正評価を行う必要性が浮き彫りになった。

 コインテレグラフは「Skill Incubator」を創業した米国人投資家、クリス・ダン氏に接触し、ピンコインとアイファンを巡る騒動についてコメントを求めた。全体として、仮想通貨コミュニティは新規のICOに対する見識を高める必要がある、とダン氏は考えている。そうでないと、各国政府の仮想通貨全体に対する姿勢が厳しくなる可能性が高い。

「仮想通貨コミュニティにおいて、経済教育と倫理的な投資行為を推進する必要がある。そうしないと各国の政府が過剰な規制を打ち出し、真のイノベーションが阻害されてしまう。投資家保護の最も効果的な方法は教育だ。投資機会を評価したり、詐欺を素早く見分ける方法を学び、リスク管理の手法を身につける必要がある」

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ICOはすべて同類ではない

 悲しむべきことに、上記の詐欺事件は仮想通貨界全体に汚点を残している。実行犯は個別に活動したわけだが、仮想通貨の波に乗ったという事実はコミュニティを広く傷付けた。多くの面でイノベーションを推進しているにもかかわらず、である。

 仮想通貨に懐疑的な人々に攻撃材料を与えた格好だが、実際には、上記の詐欺事案は正当なICOや仮想通貨とは程遠いものだ。一般大衆や当局が避けるべきは、すべてのICOを同類と見なすことである。新たなテクノロジーの大げさな売り文句に乗じようとする犯罪者がいるのは事実だ。しかしながら、IT業界の最も優秀な頭脳が生み出した優れた成果は損われてはいない。