国際通貨基金(IMF)が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)やCBDCの法律面の問題に関する新たな調査報告書を公表した。

報告書において、IMFの法律顧問ヴァウター・ボッス氏やカトリーナ・マルグリス氏らの調査担当者は、公に使用されるCBDCを発行するには現行の枠組みでは不十分だと指摘している。既存の通貨の定義をCBDCのような新しいテクノロジーにどのように適用できるかという点について特に懸念が示されているが、その問題は単純であり十分に対応できると楽観的だ。

「トークンやアカウントベースのCBDCの発行について明確かつ確固たる法的根拠がない問題は、的を絞った中央銀行法の改正で比較的容易に解決できる」

今回の報告書ではまた、大部分の中央銀行が独占している法定通貨の発行の問題についても言及している。報告書は、そのような体制に十分な合理性はあるとした上で、法定通貨にレートが固定された民間のステーブルコインが違法である可能性を示唆している。

CBDCと類似したデジタルトークンを民間で発行すれば、金融システムへの深刻なダメージなど、19世紀とまったく同じ問題が生じる可能性があると指摘。19世紀に民間の銀行が紙幣を発行したが、その後、銀行はそれらの紙幣を実際に兌換する義務を怠ったことがあった。

報告書は最後に、通貨法の改正が中央銀行法の改正よりも難しくなる可能性をほのめかしている。トークンを法定通貨と見なせるかどうかや、技術を様々なレベルで利用できるようにしつつ広範囲での利用をどう確保するか、といった基本的な疑問点には回答が出されていない。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン