香港の中央銀行および規制当局である香港金融管理局(HKMA)は、HSBCやスタンダードチャータード銀行を含む大手銀行に対し、仮想通貨取引所を顧客として受け入れるよう圧力をかけていると伝えられている。
フィナンシャル・タイムズの6月15日の報道によれば、香港金融管理局は5月の会合で、英国の銀行や中国銀行に対し、仮想通貨取引所を顧客として受け入れない理由を尋ねたという。
これに先立ち、香港金融管理局は4月27日に、銀行機関に対し、新たな市場の展開に注意を払い、仮想通貨市場など新たな分野に対して積極的なアプローチを取るよう求める通知を出していた。
香港の中央銀行はこの文書の中で、仮想通貨企業を「仮想資産サービスプロバイダー」(VASPs)と呼び、銀行サービスへのアクセスを手助けするよう金融機関に求めている。
FTにコメントした5月の会合に詳しい情報筋によれば、香港金融管理局は「銀行に恐れることはない」と促していたという。同情報筋は、仮想通貨顧客を受け入れることに対する反対意見もあると述べた。「伝統的な銀行の上級幹部から抵抗が見られる」と語った。
香港が仮想通貨業界に対して友好的な姿勢を見せる一方で、米国の取引所に対する規制環境は波乱含みだ。
6月5日に米証券取引委員会(SEC)が、バイナンスが証券法に違反しているとして訴訟を起こした。翌6月6日には、同様の訴因でコインベースに対して訴訟が起こされた。6月12日の提出書類によれば、バイナンスUSは、SECの訴訟が米国の銀行パートナーとの関係に大きな圧力をかけていると主張している。さらに、バイナンス・オーストラリアは、地元の決済プロバイダーがサポートを停止したことを受け、豪ドルサービスを停止せざるを得なくなった。
一方、香港の立法会議員の中には、仮想通貨業界に対して歓迎的な姿勢を見せる者もいる。
6月10日、香港立法会議員のジョニー・ウン氏はコインベースを支持し、さらに友好的な環境で事業を展開するよう香港に来て欲しいとツイートした。「私はここに、コインベースを含むすべての仮想資産取引事業者に対し、公式取引プラットフォームの申請およびさらなる開発計画のために香港に来るよう招待します。お気軽にお問い合わせください。お手伝いできることがあれば喜んで対応します」とツイートしている。
6月1日、香港は新たな仮想通貨規制を施行し、現地でライセンスを取得した仮想通貨企業が事業を開始できるようになった。これにより、有効なライセンスを持つ企業は、個人投資家向けのサービスを提供し、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨を取引できるようになる。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン