仮想通貨取引所FTXが破綻を申請してから2年半以上が経過し、ようやく資金にアクセスできなかったユーザーへの返済が進み始めている。
5月15日の告知で、FTX破産財団は、再建計画の下で返済対象となる2番目のグループへの送金を開始すると発表した。5月30日から、ビットゴーおよびクラーケンを通じて、債権者に「1~3営業日以内」に50億ドル超が支払われる予定である。
再建計画に基づき、FTXは「便宜クラス(Convenience Classes)」に分類される5つのグループに対して、資産の54%から120%の範囲で分配を行うとしている。次の債権者グループの返済スケジュールについては「追って発表する」とし、すべての請求が行われた場合の支払い総額は最大160億ドルに達する見込みだ。
FTXは、今年2月18日に約12億ドルの返済を見込む第1弾の送金を開始しており、今回が第2弾となる。FTXが2022年11月に破綻して以降、元ユーザーが初めて資金を受け取ることになる一方で、再建計画が「破綻当時の暗号資産価格」に基づいて支払い額を決定している点については、多くの批判が寄せられている。
2022年末以降、ビットコイン価格は約2万ドルから現在の10万ドル超まで、400%以上上昇している。再建計画によれば、債権者の98%が当初の請求額の少なくとも118%を現金で受け取る見込みだという。
刑事裁判はすでに決着、終幕へ
今回の発表は、元FTX最高経営責任者(CEO)のサム・バンクマン=フリード氏(通称SBF)が顧客資金の不正使用に関与したとして有罪判決を受け、懲役25年の判決を受けた裁判から1年以上が経過したタイミングで行われた。元アラメダ・リサーチCEOのキャロライン・エリソン氏および元FTXデジタル・マーケッツ共同CEOのライアン・サラメ氏も有罪を認め、それぞれ懲役2年および7年半の判決を受けている。
また、FTXのエンジニアリングディレクターだったニシャド・シン氏と共同創業者のゲイリー・ワン氏も有罪を認め、すでに服役を終えている。ただし、サラメ氏の妻であるミシェル・ボンド氏は、取引所の業務に直接関与していなかった可能性があるものの、ニューヨークでの選挙資金規正法違反の容疑で起訴されている。