伝統的な投資家と仮想通貨投資家の双方が注目する米国の個人消費支出(PCE)価格指数の発表が、3月29日に迫っている。この発表が、インフレ懸念の緩和とリスク資産への投資意欲回復の起爆剤となる可能性がある。
米経済分析局(BEA)は、消費者が商品やサービスに支払う価格の変動を示す最新のPCEレポートを28日に発表する予定だ。
シンガポール拠点のデジタル資産企業QCPグループは、このPCE指標がビットコイン(BTC)および他のリスク資産にとって「次の主要な材料」になる可能性があると指摘している。
「3月29日の四半期満期に向けて、10万ドル超の価格帯にオプションの建玉が集中しているが、それ単体で大きな値動きは期待していない。注目はPCE指標に移るだろう。これが次の重要なカタリストになる可能性がある」
同社はまた、リスク資産が回復基調にある背景として「トランプ大統領が月曜に2度にわたって貿易相手国に対する関税免除や引き下げの可能性を示唆し、市場の緊張感が一時和らいだ」と述べた。
一方で、他のアナリストらは、世界的な貿易摩擦が依然として投資家心理を冷やしていると分析している。
ナンセンのリサーチアナリスト、ニコライ・ソンダーガード氏は、関税に関する懸念が少なくとも4月2日までは市場に圧力をかけ続けると述べた。
「4月2日以降の動きに注目している。関税が一部撤廃されるかもしれないが、すべての国が合意できるかどうかにかかっている」とソンダーガード氏は述べた。
1月20日、トランプ氏が大統領就任と同時に中国製品への輸入関税を発表して以降、ビットコイン価格は14%以上下落している。
ビットコインにとって4月は伝統的には上昇局面となる月だ。コイングラスのデータによれば、ビットコインは4月に平均12.9%の月間リターンを記録しており、年間で4番目にパフォーマンスの良い月となっている。PCEの数字がインフレ懸念を緩和させれば、4月の「伝統的な上昇局面」を後押しする可能性が高くなる。
Source: CoinGlass
インフレ鈍化でBTCは11万ドル到達の可能性も
ビットメックスの共同創業者アーサー・ヘイズ氏は最近、ビットコインが11万ドルの過去最高値を更新した後、7万6,500ドルまで調整するというシナリオを提示した。
イン・トゥ・ザ・ブロックのシニアリサーチアナリストであるフアン・ペリシエル氏も、「現在の市場環境において、ビットコインが11万ドルの高値を試す可能性は十分にある」と指摘する。
「機関投資家の関心が高まり、大口プレイヤーによる投資が拡大していることが、ビットコインの回復基調を支えている」とペリシエル氏はコインテレグラフに語り、次のように続けた。
「米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めの姿勢を緩和したことは、市場の流動性を高め、短期的な価格上昇を後押しする可能性がある」
ただし、同氏は市場のボラティリティが依然としてリスク要因であるとも強調している。「急落リスクは残っているが、現在のモメンタムとサポート水準を踏まえると、まずは上値目標に達する可能性が高い」と付け加えた。