金融庁は、先月26日に行われた麻生財務大臣による閣議後記者会見の質疑応答を公開した。麻生氏はその中で、質問した記者に対して「仮想通貨という言葉はやめたら」と促した。

「仮想通貨の件でお聞かせください」という記者の呼びかけに対して、麻生大臣が「仮想通貨という言葉はやめたら」と発言した。先月、閣議決定された金融商品取引法と資金決済法の改正案で仮想通貨の暗号資産への呼称変更が盛り込まれた。しかし金融庁は、あくまで法律上の呼称変更であり、暗号資産の呼称を義務づける強制力はないと説明していた。

一方、麻生大臣は先月20日に開かれた参議院の財政金融委員会で、仮想通貨の呼称が暗号資産に変更することになっても資金決済法上の定義が変更されるわけではないとし、税制上、仮想通貨が雑所得に該当するというこれまでの見解に変更はない発言。参議院議員(日本維新の会)の藤巻健史氏が「金融商品として位置付けられるならば、仮想通貨を他の金融所得同様に20%の源泉分離で考えてもよいのではないか」と質問したことに対して回答した。

先月26日の記者会見で麻生氏は、仮想通貨取引所の今後の審査プロセスについても言及。ディーカレットと楽天ウォレットが先月25日に金融庁に仮想通貨交換業者として登録されたことについて、麻生氏は過去2回の仮想通貨流出事件に言及し、厳正な審査の重要性を指摘。次のように続けた。

「ブロックチェーンなんかすばらしい技術だとは思うけれども、これが定着してきちんとなっていくまでにはかなりの時間を要する話なのであって、その中に善意の者とは限らないから、いろいろな人でそういったものを悪用する人がいることも考えておくと、そうすると利用者とか、そういったものを使っている人達がえらい迷惑を被る、被害を被ることになりかねない(中略)引き続ききちんとした対応をして、こういったものがうまく育っていってくれればなとは思いますけれども、なかなか今まだ途中ですよとは思います」