米連邦準備制度理事会(FRB)のランダル・クオールズ副議長は、ステーブルコイン規制について触れ、イノベーションを妨げる可能性に懸念を表明した。同氏は年末いっぱいでFRBを退任する予定だ。

クオールズ氏は、12月2日にアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)で講演し、ステーブルコイン規制によってデジタル資産分野のイノベーションを妨げる可能性に懸念を示した。

クオールズ氏によると、11月の大統領ワーキンググループの報告書で示しされたアプローチのいくつかは、たとえば「ウォレットプロバイダーと営利組織との提携を制限する」といった措置は、必要ないという。

「ステーブルコインの発行者自体が銀行でなければならないというのも、この1つだ。私の考えでは、これはオーバーキルだ。ノンバンク向けの規制による効果的な方法もある。ただ、少なくとも銀行規制の既存の枠組みとステーブルコイン発行を安全に運営するために対処するべき措置との間には明確な関係はある」と、クオールズ氏は述べている。「しかし、ウォレットプロバイダーを営利組織から完全に分離する必要があるという考えは、まるで話が違う」。

「このような制限によってどのような規制上の利益が得られるかは不透明だ。これは非デジタル資産に課される規制よりも、はるかに厳しいものだ」

クオールズ氏は2017年から務めていたFRBで役職を務めていたが、12月末で退任することになる。

FRBに在職中、クオールズ氏は仮想通貨市場を規制するための枠組みを構築する前に、適切な規制アプローチを検討する必要があると語っていた。2017年の強気相場の際に、同氏は仮想通貨の大規模な採用が「深刻な金融安定性の問題」を引き起こす可能性があると主張し、政府が銀行と提携してデジタル決済ソリューションを作成する必要について触れていた。

今回の講演でクオールズ氏は、「デジタル資産関連の活動は新奇なものに見えるかもしれないが、規制当局は、これらの活動を特別な方法で扱う必要はない」と述べている。「私たちはこれらの活動によってもたらされる固有のリスクに注意を払い、不必要に妨げるようなことは避けなければならない」。