FRB(連邦準備理事会)のパウエル議長は、世界的に普及する仮想通貨システムが準備通貨の必要性をなくしてしまう可能性に言及した。

11日、上院の銀行委員会で議会証言に臨んだパウエル議長は、現在米ドルが世界において支配的な準備通貨だが、卓越した仮想通貨の存在が現在の金融システムを一変させてしまう可能性を認識。ただ、現時点ではこれが現実にはなっていないという考えを示した。

「私は、(現在の準備通貨が廃れることは)あり得るとは思うが、(仮想通貨の)幅広い普及は観測できていない。ビットコインが良い例だ。誰も、支払い手段として使っていないじゃないか(中略)金のような投機的な価値保存手段だ

パウエル議長の比較は興味深い。ニューヨーク連銀が米国や外国政府、他国の中銀などが持つ金のカストディアン(資産管理者)としての役割を担っているからだ。

パウエル議長は、仮想通貨が準備通貨に取って代わるという見立ては最初からあったとし、それが実現すればFRBをはじめとして大きな変革がもたらせるかもしれないという認識を示した。しかし、次のように続けた。

「仮想通貨が生まれた時からみんな話しているが、まだ実現していない。だからと言って実現しないわけではない。もしそうなれば、米国は多くの異なる通貨が共存していた時代に戻るかもしれない。いわゆる、国法銀行期に戻るのではないか」

パウエル議長は10日には下院で議会証言を行い、フェイスブックのリブラに対して「深刻な懸念」の意を表明した。

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