欧州議会は、13日発表の暫定的な決議の中で、ブロックチェーンが貿易政策を改善する上で重要な役割を果たすことに言及し、世界的な普及を促す上でEUがリーダシップを発揮するべきという考えを示した。

「ブロックチェーン:将来を見据えた貿易政策」と題されたこの決議は、欧州連合(EU)内で自由貿易協定(FTA)が十分に活用されていないことを意識。EU域内では輸出業者のわずか67パーセント、輸入業者の90パーセントしか特恵関税(特的の国に対して有利な関税を与える制度)を活用していないことを指摘し、ブロックチェーンがこれらの貿易政策の改善につながるとしている。決議案には、その理由について次のように書かれている。

「輸出業者はブロックチェーンに支えられた公的機関のアプリケーションに全ての書類をアップロードし、FTAによる特恵関税へのコンプライアンスを示すことができる」

特恵関税は、FTAなどの締結により適用される。

また欧州議会は、ブロックチェーン技術が製品の出所に関する信頼性をもたらし、関税当局の情報入手を容易にさせる可能性があることも指摘。「国際取引にまつわるコストを抑制することで、世界貿易を効率化、迅速化し、貿易量を増大させる」と期待を込めた。

この決議案は、総じてブロックチェーンについて「プライベートで許可型の分散台帳技術(DLT)」とみなしているものの、「様々なケーススタディと産業が、プライベート/パブリック、許可型/非許可型を混合したブロックチェーンから様々な有用性を引き出す」ことも認めている。

今後について決議は、欧州委員会が「ブロックチェーン分野の開発を見守り」、その適用に関して「一連の指針」を作成することを呼びかけた。また、欧州委員会がブロックチェーン技術に関する諮問グループを設置し、ブロックチェーンの政策調査を実施するよう促している。

「EUはブロックチェーンと国際貿易の分野で指導的役割を果たすチャンスを手にしており、世界のパートナーと共にブロックチェーンの発展を促す上で、影響力を持つべきだ

今月初め、EU加盟国7カ国が、域内におけるブロックチェーン利用の促進を呼びかける共同宣言を発表。この宣言はマルタが提案し、イタリア、フランス、キプロス、ポルトガル、スペイン、ギリシャが署名した。

しかし、EU内には懐疑派もいる。

欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は9月、独自のデジタル通貨を発行する計画はないと発言。また、11月中旬にはECBの幹部がビットコイン(BTC)を、「[2008年の]金融危機で生まれた悪魔の子」と述べた