欧州証券市場監督局(ESMA)は、仮想通貨の差金決済取引(CFD)の要件を強化した。27日に声明を出した。

 CFDは、現物の商品や有価証券の引き渡しではなく、現金支払いで差額の清算が行われる先物契約の取り決めだ。すべての損益が現金で支払われるため、より簡便な清算手段だとみなされている。また、投資家は実際に有価証券を所有すること無しに、同等のリスクと利益を得ることができる。

 EU規制当局は、取引開始時点での仮想通貨CFDのレバレッジ上限を2:1に変える予定だ。つまり投資家は取引を開始するにあたり、約定金額の少なくとも半分をカバーするのに十分な資金を持っていなければならない。当初、レバレッジの上限は5:1のレートで固定されていたため、投資家はCFD価格の20%を持ち合わせているだけで取引に参加することができた。

 ESMAは今年1月、仮想通貨CFDへ行政が介入することについて、根拠に基づく情報提供の照会(Call for Evidence)を行った。ESMAは、投資家保護の観点から、仮想通貨の非常に大きな価格変動を懸念していた。

 ESMAは声明の中で、仮想通貨は依然として投資活動のリスク要因であり、より慎重な監視を要すると強調した。

「…仮想通貨のCFDにはこれら多くの懸念が残っている。アセットクラスとしての仮想通貨の特殊な性質のため、CFDといった仮想通貨へのエクスポージャーを提供している金融商品市場は厳重に監視される予定で、より厳しい手段が必要か否かをESMAは評価する予定だ」

 ESMAの見解はEU加盟国のその他の規制当局と共有されている。フランスの金融規制当局である金融市場庁(AMF)は2月、EUの新たな金融改革の下で仮想通貨デリバティブは規制されねばならないとの声明を出した。また、仮想通貨CFDを提供している取引プラットフォームは、欧州市場インフラ規則(EMIR)の下で規制され、認可されなければならない。

 オーストリアの財務相も同月、仮想通貨を使ったマネーロンダリングを防ぐために仮想通貨デリバティブに規制を課すという提案を行った

 EUの規制当局は消費者に対して仮想通貨投資に伴う「高いリスク」を繰り返し警告している。特に投資家保護の欠如、金銭的損失、未統制の金融活動に伴う問題などを指摘している。