オーストリアのハルトウィグ・レガー財務大臣は、仮想通貨がマネーロンダリングに用いられることを防ぐ手段として、仮想通貨に関する規制を既に施行されている金とデリバティブの取引ルールに基づいたものにすることを検討しているようだ。ブルームバーグが今月23日に伝えた

 レガー大臣は昨日、ポルトガルのマリオ・センテーノ財務大臣とこれに基づいた欧州連合全域をカバーする仮想通貨規制について話し合った。レガー大臣は同会合で、仮想通貨詐欺の対策に関するEU案を3月に承認するため欧州委員会がワーキンググループを作る等の行動計画も議論したという。ポルトガル現地Vienna.atが伝えた。

 オーストリアでは最近多くの個人投資家が被害を受けた122億円規模のビットコイン詐欺事件が起きており、レガー大臣は「オーストリアの事例は仮想通貨規制の分野で行動を起こすのに十分である」とした。

 レガー大臣はさらに今年3月に「フィンテック規制委員会」を作る案も明かした。仮想通貨の専門家を集め、仮想通貨規制がEUにどのような影響を与えるのかについて詳しく審議されるという。

 レガー大臣の計画では、1万2300ドル以上(約131万円)の仮想通貨取引は金融情報部門への報告を義務付ける。また、仮想通貨プラットフォームはオーストリア金融市場機構により監視されることとなる。

 さらにICO実施にはオーストリア金融市場機構による承認が必要な「デジタル発起書(プロスペクタス)」を求める。市場操作やインサイダー取引等の規則もICOに適用予定だという。

 オーストリア金融市場機構委員会のヘルムット・エトル氏とクラウス・クンプフミュラー氏は、2月23日の報道発表で「財務大臣ハルトウィグ・レガー氏の仮想通貨を規制や監視の対象とする動きを歓迎する」と述べている。「デジタル通貨は本質的にはインターネットの現象であり、インターネット上で制限なく提供される。規制や監視などの国境を超えた協力は非常に重要であるため、この問題にEUレベルで取り組んでいくことを強く支持する」。(同報道発表)

 オーストリア金融市場機構委員会はさらに、レガー氏の提案した「フィンテック規制委員会」設立についても協力すると述べており、規制当局が一丸となって仮想通貨取引規制に取り組む姿勢を見せた。