仮想通貨イーサリアム(ETH)の価格低迷が続く背景にはイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の売り圧力ではなく需要の減少があると、仮想通貨投資顧問などを手がけるD2キャピタルの共同創設者プリモズ・コーデス氏がブログで述べた。今月にビットコイン(BTC)の価格は若干回復したものの、イーサリアムは約30%下落。執筆時点でも心理的節目の300ドルを回復していない。

イーサリアムが年初来から約80%下落している理由として、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)の主催者が相次いでトークンを売却して現金化しているという見方が多いが、コーデス氏は我々のリサーチでは確認できなかったと主張。8月に売却されたイーサリアムは10万ほどで、これは今年の平均の3分の1ほどにすぎないと指摘した。

(引用元:Primoz Kordez 「月間ICO換金額(ETH)」

その上でコーデス氏は、イーサリアム価格の低迷と関係があるのは需要サイドの低迷と解説。イーサリアムの規模の拡大(スケーリング)面で限界があることや数百万ドルも資金調達しながら約束を果たさないICOが多いことに気づいた個人投資家の購買意欲が減っているという。

クリプトブリフィングによると、コーデス氏は需要サイドの低迷について次のように述べた。

「ICOはレアになってきている。クラウドファンディングをするプロジェクトはまだ存在するが、主催者はこれまで機関投資家に注力している。機関投資家はイーサで参加する必要がなく、他の仮想通貨や法定通貨で参加することがある」

今後の見通しについてコーデス氏は、小規模なICOプロジェクトによる狼狽売りの可能性があるが、イーサリアム価格に対する影響は限定的だとみている。「小規模な」プロジェクトは、2017年に資金調達したイーサリアムの62.8%を年初来で売却したが、テレグラムやEOSなど「大規模な」プロジェクトはたった18.7%しか売っていないという。コーデス氏は、大規模なICOがイーサリアムの価格を支えるのではないかとみている。