イーサリアム(ETH)は10月29日以来となる4000ドルの水準を奪還できずにいる。それ以降、強気派の勢いは湧き上がってもすぐにしぼみ、イーサリアムの優位性や機関投資家の強い需要があるにもかかわらず、なぜ価格が伸び悩んでいるのかという疑問が高まっている。
投資家がETHを保有する主な理由には、ステーキング利回りと、データ処理に必要な計算能力の供給源としての役割がある。そのため、ブロックチェーン全体の活動が鈍化すると、たとえ以前の活動がミームコインのローンチや投機的取引のように持続性のない要因によって押し上げられていたとしても、価格には下押し圧力がかかりやすい。
過去30日間でイーサリアムのトランザクションは23%減少し、アクティブアドレス数も3%減少した。これに対し、トロンとBNBチェーンのトランザクションは同期間に少なくとも34%増加し、ソラナのアクティブアドレスも15%増加した。
一般に中央集権的と見なされる競合チェーンは、現状では手数料が安く、よりスムーズなユーザー体験を提供している。ETHが再び強固な強気の勢いを取り戻すには、イーサリアムネットワークがウォレットとの連携を改善し、ブリッジ利用時の摩擦を減らす必要がある。
米国では2024年半ばにイーサリアム上場投資信託(ETF)が上場し、ほかのアルトコインに対して約16カ月先行した。しかし、米国でソラナETFが成功裏にデビューしたことで、XRP(XRP)、BNB(BNB)、カルダノ(ADA)のETFが市場に参入すれば、機関投資家資金の獲得競争が激化するとの懸念も出ている。
イーサリアム関連の上場商品への資金流入は、ETHが2021年12月以来となる4200ドルをつけた8月9日までの100日間で140%の上昇を後押しした。しかし、ここから資金が他資産へ回転すれば、強気の勢いが直接脅かされる可能性がある。
イーサリアムのネットワーク手数料は、2024年末に週7000万ドルでピークをつけてから88%下落し、ステーキング利回りを押し下げている。投資家は、近く予定されている「Fusaka」アップグレードによってどのような利益が得られるのか、より明確な説明を求めている。レイヤー2ロールアップによるデータ処理の強化は歓迎されているものの、ETH保有者が最終的にどのような恩恵を受けるのかは依然として不透明だ。
イーサリアムの優位性がDApp収益に結びつかないとの疑念
イーサリアムは総ロック価値(TVL)で圧倒的な優位を保ち、レイヤー2の採用でも成功している。しかし、これらの強みがイーサリアム上の分散型アプリケーション(DApp)の収益増加につながるかについて、トレーダーは懐疑的だ。現状ではソラナがDApp収益で優位に立ち、ハイパーリキッドのような新興勢力も存在感を増している。
Baseの成長はイーサリアムエコシステムに一定の価値を付与しているものの、コインベースとのネイティブ統合によるオンボーディングの容易さは、レイヤー2全体の実情を完全には反映していない。
木曜日にETHが3200ドルまで下落したことで、ETHを準備資産として保有する企業の株価が純資産価値(mNAV)を下回る状態に陥った。この状況では、新株を発行してETHを取得するインセンティブが消失し、企業は追加の社債調達など別の戦略を模索せざるを得なくなる。
最終的に、イーサが4000ドルへ戻る道筋は、オンチェーン活動の回復、ネットワーク手数料の増加によるステーキング利回りの改善、Fusakaアップグレードの具体的な利益の明確化、そしてETH準備資産を戦略的に積み上げる企業からの資金流入の再活性化にかかっている。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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