主要仮想通貨の上昇が一服する中、仮想通貨イーサ(ETH)は堅調な推移をみせている。過去24時間で5%近く上昇し、昨年9月21日以来となる220ドルも見えてきた。背景にあるのは、分散型金融(DeFi)にロックされた金額が10億ドル(約1090億円)に迫ったことがあるとみられる。

(出典:Coin360 日本時間2月7日18時時点)

分散型金融のロックアップ資金が急増

DeFiパルスによると、7日時点でDeFi用にロックアップされた資金はドル建で9億9995万4000ドル。年初来で50%近くの上昇で1年前と比べれば260%のプラスだった。

(出典:DeFi Pulse「DeFi用にロックアップされた資金(米ドル)」)

また、分散型金融(DeFi)プロジェクト「メーカーダオ(MakerDAO)」のステーブルコイン「ダイ(Dai)」建ては7日時点で6660万7000Dai。年初来で64%以上も上昇。イーサ建ての場合は7日時点で313万5000ETHで年初来で6%以上上昇した。

メーカーダオはイーサリアムを基盤にしたレンディングのプラットフォームだ。

一方、DeFiにロックアップされたビットコイン(BTC)建ての資金は1565BTCは約8%のプラスだった。

DeFiは、分散型ネットワークを使ったレンディングやデリバティブ、支払いサービスを指す。ロックアップ資金は、融資や金利の獲得、ステーブルコインの発行など様々な用途に使われる。

DeFi用にロックアップされたイーサの額が増えるとイーサにとってポジティブ材料になるという見方がある、DeFiにイーサが必要になることを意味しており、イーサステークのためにイーサが必要になれば、購入できるイーサが減少するため、イーサ/米ドルには上昇圧力となるからだ。

仮想通貨市場関係者からはDeFiにロックされた米ドル建の資金が10億ドルに到達したのは重要なマイルストーンという見方が出ている。

コンセンシス解雇は売り圧力?

ただ、イーサにとって良いニュースばかりではない。

既報の通り、米ニューヨークに本部を置くイーサリアム系の開発企業コンセンシスは、2月4日に従業員を約14%解雇したと発表。ソフトウェア部門と投資部門を切り分けて、「ソフトウェア開発のニーズに合わせてチームを再編成する」と声明で述べた。

コンセンシスは、イーサリアムのネットワークで最も重要な企業の1つだ。 

ブロックチェン分析企業メサーリのライアン・セルキス氏は、ニュースレターの中で、「皮肉な見方」としてコンセンシス創業者であるジョセフ・ルービン氏によるイーサ売却をあげた。

「(ルービン氏のイーサ資金は)以前はETHの全供給量の5~10%の範囲に及ぶと噂されていた。つまり10~20億ドル(約1090億円~2180億円)のアクセス可能な資本を意味する。おそらく現在の残高は下の方だろう」

ただセルキス氏は、長期的にはイーサリアムネットワークにとってポジティブだ指摘。イーサ保有におけるルービン氏への偏りを解消できる一方で「最も重要なコンセンシスのインフラは資金面で安定している」と分析した。

また今回のコンセンシスによるレイオフ(一時解雇)に関してもセルキス氏は前向きに見ている。

「コンセンシスの組織は現在は散らかっている状態だが、2018年末に発表された最初のレイオフ以降で順序立てて運営を立て直す努力がされている」

2018年12月にコンセンシスは、社員1200人のうち50~60%を解雇していくと報じられていた。しかし2019年1月、コンセンシス幹部はコインテレグラフに対し、実際に解雇されたのは1割以下で主にサポートスタッフであると述べていた。

イーサ(ETH)はテクニカル的にも強気サインが灯った。既報の通り、イーサはゴールデンクロスを形成し、心理的な節目となる200ドルも4カ月ぶりに回復した。