仮想通貨フレンドリーな取引プラットフォームeToroが、米国での新規株式公開(IPO)に向けて新たな一歩を踏み出した。
同社は3月24日、米証券取引委員会(SEC)に対し、クラスA普通株式に関するフォームF-1登録届出書を提出したと発表した。
発表によれば、eToroはクラスA普通株式を「ETOR」のティッカーシンボルでナスダック・グローバル・セレクト・マーケットに上場申請している。
この公表の約2ヶ月前、1月16日にフィナンシャル・タイムズが報じた、eToroがIPOを視野に入れてSECに秘密裡に申請を行ったとの報道があった。当時の報道によると、eToroのIPOは2025年第2四半期にも実現する可能性があり、企業価値は50億ドルを超えるとみられているという。
eToroは、その使いやすさから、株式や仮想通貨の購入を始める初心者の投資家によく利用されている。
今回のIPOにあたっては、ゴールドマン・サックス、ジェフリーズ、UBS、シティグループといった世界有数の投資銀行が共同主幹事に名を連ねている。
2021年に上場を計画も、市場環境悪化で中止
eToroは過去にも米国の株式市場での上場を試みた経緯がある。2021年には、特別買収目的会社(SPAC)であるフィンテック・アクイジション・コープVとの合併を通じて上場する計画を発表し、企業評価額は104億ドルに達していた。
しかし2022年半ば、市場環境の悪化を理由にこの取引は中止された。
eToroにとって英国は最大の市場であるが、より広範な投資家層へのアクセスを狙い、米国での上場を目指している。
eToroの創業者兼CEOであるヨニ・アッシア氏は昨年、「当社のグローバルな顧客の多くは英国株を取引しない」と述べ、次のように続けた。
「米国市場には、流動性の深さと、上場資産に対する認知度の高さがある」
2023年には、eToroは2億5000万ドルの資金調達を実施し、その時点での企業評価額は35億ドルとなっていた。
フォーブスによると、eToroは欧州でビットコイン(BTC)サービスを提供した初の規制下取引プラットフォームの1つであり、2009年1月に初のビットコイン取引が行われてから数年後の2013年にサービスを開始している。