中国政府が実効支配を進める南シナ海でデジタル人民元の推進を図っている。

中国現地誌「21世紀経済日報」によると、南シナ海の西沙(パラセル)諸島と南沙(スプラトリー)諸島を管轄する三沙(サンサーと発音)市政府、人民銀行支店、工商銀行などが共同で、同市が管轄する島に住むスタッフや一般人向けにデジタル人民元の決済体験を展開するという。現地政府や企業職員を対象に、レストラン、ホテル、スーパー等でデジタル人民元で100元以上の買い物をすると99元払い戻される一種のPRキャンペーンだ。期間は来週から2週間。

三沙市は2012年に中国政府がウッディー島(永興島)に設置した中国最南端の行政市で、280もの島嶼を管轄しているとされる。人口は約2500人と中国で最も少ないが海洋面積を含めると中国の市としては最大だ。年々その面積を拡大し都市としての機能を拡充しようとしている。

南シナ海で中国が設置した三沙市(情報元:百度)

中国政府はデジタル人民元の実証実験を複数の都市で進めており、これまでに70万人以上がデジタル人民元を使った決済を体験したという。さらに北京冬季オリンピックでも実証実験が実施される予定で、中国経済とCBDCにおける優位性を誇示することになりそうだ。

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