米国の投資会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、社内向けの年次書簡の中で、資産運用業界におけるデジタル資産とトークン化の可能性を強調した。

この書簡は3月15日に公開され、デジタル資産を含む、この1年間で同社の関心を引いたさまざまなテーマを取り上げた。フィンク氏は、FTXの破綻にもかかわらず、この種の資産に対する関心は高まり、持続していることを強調した。

また、この分野では、一過性のブームを超えた「興味深い展開」が起きていると述べた。特に、インド、ブラジル、アフリカなどの多くの新興市場における金融包摂を促進するデジタル決済ソリューションの「劇的な進歩」を指摘した。

しかし、フィンク氏によれば、新興市場と先進国とのイノベーションのペースは同じではないという。

「これに対し、米国を含む多くの先進国市場では、技術革新が遅れており、決済にかかるコストが非常に高くなっている」

ブラックロックは現在、約8兆ドルの資産を運用する世界最大級の資産運用会社だ。フィンク氏は、資産運用業界では、こうしたデジタル資産のイノベーションの基礎となる技術の「エキサイティングな応用」を実現できる可能性があると述べた。

具体的には、「資本市場の効率性を高め、バリューチェーンを短縮し、投資家にとってのコストとアクセスを改善する」可能性を持つ資産クラスのトークン化を評価した。

フィンク氏の声明は、仮想通貨分野のリスクと規制の必要性に言及しつつ、それでも同社が今後さらにデジタル資産の可能性を検討していくことを指摘する内容で締めくくられていた。