起業家であり、トランプ大統領のビットコイン政策アドバイザーを務めるデイビッド・ベイリー氏が、ビットコインの政策的優先事項を推進するための政治行動委員会(PAC)設立を計画している。調達目標は1億~2億ドルとされ、仮想通貨業界の政治的影響力強化を目指している。

ベイリー氏は、ビットコイン・マガジンおよびBTC Inc.の創業者として知られている。2024年の大統領選ではトランプ陣営のアドバイザーを務め、トランプ氏のビットコイン支持姿勢への転換を後押しした中心人物とされている。

ベイリー氏は日曜、Xへの投稿で「今年は政治とその舞台裏について多くを学んだ。ナカモト・ホールディングスを基盤に、ビットコインの優先事項を推進するためのPACを設立し、1億~2億ドルを調達したい」と語った。ナカモト・ホールディングスとは、同氏が運営するビットコイン・トレジャリー企業だ。

PAC(政治行動委員会)は、寄付を通じて資金を集め、その資金を特定の候補者や政党、政策に投じる仕組みとなっている。

仮想通貨分野で最も知られるPACのひとつである「フェアシェイク」は、コインベースやリップル・ラボなどの企業が支援しており、2024年の米国選挙では親仮想通貨派の候補者支援に約1億3000万ドルを投入した。

BTCを1000万ドルまで引き上げる

ベイリー氏によれば、今回立ち上げを目指すPACの主要な目的のひとつは、ビットコイン(BTC)の価格を1000万ドルまで引き上げることにあるという。

ビットコインポッドキャスターのステファン・リベラ氏は、PACの優先課題として「ビットコイン売却益にかかるキャピタルゲイン課税の廃止」と「セルフカストディ(自己保管)の権利保護」を提案した

さらに、ヒューマン・ライツ・ファウンデーションの最高戦略責任者であるアレックス・グラッドスタイン氏は、オープンソース開発者の法的保護や、高校でのビットコイン教育の推進、さらには対米債務をビットコインで返済可能にする制度などを提案している

そのほかにも、ユーザーからは「超党派的なビットコイン推進」、「ビットコインATMへの予算支援」、「連邦政府によるビットコイン教育の補助金支給」など、さまざまな提案が寄せられている。

ベイリー氏の政治関与に「慎重さが必要」との指摘も

ベイリー氏は、今年5月に3億ドルを調達してナカモト・ホールディングスを設立したほか、ヘッジファンド「210kキャピタル」など複数のビットコイン関連事業を展開している。ブルームバーグの7月18日の報道によれば、同ファンドはビットコインを保有する上場企業への投資を積極的に行っている。

しかし、米上場企業BTCSのチャールズ・アレンCEOは、ベイリー氏のこうした経歴を踏まえ、「政治活動と上場企業の資金が結びつくことで、株主代表訴訟のリスクが生じる」と警告する

「株主に対する受託責任を負う以上、政治活動に企業資金を使えば、訴訟リスクが伴う可能性がある」とアレン氏は述べた。

これに対しベイリー氏は「建設的なフィードバック」と受け止めつつも、「フェアシェイクが同様の資金提供を受けて問題になっていない」と反論した

アレン氏はさらに、「いまや政治環境は仮想通貨に追い風が吹いており、企業資金を政治活動に使う意味が本当にあるのか、株主から疑問の声が上がってもおかしくない」として、「金額次第では訴訟リスクも無視できない。慎重に行動すべきだ」と付け加えた。

PACの設立には通常、資金管理を担う財務責任者の選任、米連邦選挙管理委員会(FEC)への登録、財務報告の提出などが必要となる。

仮想通貨業界が政治の領域にも

仮想通貨業界は、2024年の米国選挙で総額1億3400万ドル超を投じており、結果として仮想通貨に好意的な議員が多数誕生した。

直近の例としては、故ジェリー・コノリー下院議員の後任を目指す民主党候補ジェームズ・ウォーキンショー氏が、仮想通貨系PACから100万ドル以上の支援を受け、予備選を勝ち抜いたことが挙げられる。

一方、フェアシェイクは今後の選挙に向けて、1億4100万ドル相当の資産を保有していると報告している。

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