シンガポールを拠点とする決済会社Xfersは5日、シンガポールドルにペッグされたステーブルコインであるXSGDを発表した。

このステーブルコインは、シンガポールドル建てトークンとしては初めてのもので、シンガポールの企業や個人が自国通貨に裏付けされた仮想通貨を使って取引できるようになる。XSGDはジリカ(Zilliqa)とイーサリアムブロックチェーン上でローンチされる。XSGDはXfersが主導する東南アジアのステーブルコインイニシアティブ「straitsX」の一環。

StraitsXの責任者であるアイメリック・サリー氏はコインテレグラフに対し、シンガポールの金融庁である金融管理局(MAS)のガイドラインに準拠し、さらに、金融活動作業部会(FATF)のトラベルルールにも則っていると話した。

主にユーザーの本人確認要件を厳格に行い、完全に検証した後にのみ、Xfersプラットフォーム上でステーブルコインを取得または換金できる。トラベルルールは2019年6月に導入されたもので、仮想通貨関連のマネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与(CFT)対策、本人確認(KYC)といった仮想通貨企業向けの一連のガイドラインだ。

これに準拠するためには、プラットフォームは継続的なリスク評価と取引監視が求められる。

ただサリー氏は、シンガポールの規制では電子マネーの形態は区別されていないと指摘。「いくつかのガイドラインを遵守していることを証明すれば」、仮想通貨企業はシンガポール国内で事業ができることが示されているという。

XSGDの最初のユースケースは、主に金融機関によるもので、国際送金や、仮想通貨関連の金融機関による金融システムへのアクセスだ。Xfersの決済担当責任者シャロン・ポール氏はコインテレグラフに次のように語った。

「通常、決済は金融アクセスを可能にするための最初のステップだ。このことを念頭に置き、トークン化された資産の増加を観察した結果、ステーブルコインを一連の支払いオプションに含めることは自然な流れだった。XSGDをデジタル資産や資本市場業界向けの相互運用性の高いシームレスな決済オプションとして提供できることを大変嬉しく思っている。」

さらにサリー氏らは、このステーブルコインが分散型金融(DeFi)のエコシステムにも採用されるように動いている。現在のところ、Zilliqaベースの分散型取引所であるジルスワップ(Zilswap)で利用可能となっている。トークンはEthereumのERC-20コントラクトとして存在しているという。

サリー氏は、ステーブルコインの世界は米ドルに支配されているが、他の通貨も参入するべきだと強調した。

「ステーブルコインの採用はここ数年で急速に増加しているが、市場の98%は米ドル建てが占めており、今こそシンガポールドルのような他の国の通貨にペッグされたステーブルコインが登場すべきだと考えている。」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン