18日に米議会で開かれた公聴会で、6人の専門家が仮想通貨の規制のあり方について証言した。とりわけ議論になったのは、仮想通貨を証券とみなすかどうかが時間と共に変化し、それによって管轄となる規制機関が変わる点だ。

 この公聴会は、テキサス州選出の共和党議員マイケル・コナウェイ氏主催で米議会下院の農業委員会で開かれ、ゴールドマンサックスの元幹部や法律家、米商品先物取引委員会(CFTC)の担当者など6名の専門家が証言した。

 元CFTCトップのゲリー・ゲンスラー氏と法律家のジョシュア・フェアフィールド氏は、もしデジタルトークンが「機能する前の段階で」(すなわちICOの段階)でマーケティングされたとしてら、その販売は証券の販売とみなされると指摘。この場合は、米国証券取引委員会(SEC)の管轄になると話した。一方、イーサリアムのケースに見られるように、ユーティリティートークンとして分散型のネットワークで使われるようになったら、証券とみなされなくなるかもしれないと主張。この場合はコモディティーとして扱われることを意味するので、SECの管轄ではなくなり、CFTCの管轄になるとみている。

 ゲンスラー氏は、現在の仮想通貨市場について「せいぜい未開拓の地」と指摘。今後FCTCは権限を強化して多くのリソースを持つ必要がある一方、SECはICO業界にはびこる「数千ものならず者」たちに対応するために2~4年ほど必要になるかもしれないと話した。

 ただ世界的な法律事務所パーキン・コイエのマネージング・パートナーであるローウェル・ネス氏は、証券としての分類を進めすぎると仮想通貨業界の発展を妨げる可能性があると警告。そもそも仮想通貨とは「ソフトウエアのスピードで価値の移転」を可能にするネットワークなのだからと主張した。

 一方、仮想通貨と犯罪について、専門家たちは仮想通貨に一定の評価を下した。ネス氏は「ロシア人ハッカーによる攻撃はビットコインを使っていたからこそ特定できた」と発言し、ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツのマネージング・パートナーであるスコット・クパー氏は、「ビットコインは法律の執行者にとっての親友だ」と述べた。