米司法省(DOJ)は、ロシアの諜報員12名をビットコインなど仮想通貨を使って2016年の米国大統領選挙に介入したとして起訴したと発表した。国家のセキュリティーを脅かす活動に仮想通貨が使われた可能性を示しており、米国で仮想通貨に対する取り締まり強化の機運が高まるかもしれない。

 米司法省によるとロシア人諜報員12名は、ロシア連邦軍参謀本部情報総局の出身。マイニングや「その他の方法」で手に入れたビットコインなど仮想通貨をdcleaks.comの登録費や民主党に対するハッキング攻撃に使用したサーバー費などに使用。dcleaks.comは、当時民主党の大統領候補者だったヒラリー・クリントン氏の個人メールが流出した場所だ。

 2016年の大統領選はクリントン氏の個人メール問題が大きな争点の一つになっていた。

 訴状は、ハッキングのために9万5000ドル以上の仮想通貨を使ったマネーロンダリングなど11の罪が記載されている。ただ米司法省は、訴追された12名が「2016年の大統領選挙の結果を変更したり、得票数を変えたりした」と主張しているわけではないという立場を示した。

 仮想通貨に対する米政府の取り締まりの姿勢は厳しくなってきており、5月に米司法省は、ビットコイン(BTC)価格が仮想通貨トレーダーによって相場操縦されている疑惑について捜査を開始。先日トランプ大統領は、仮想通貨詐欺の調査に関するガイドライン策定などを実行するタスクフォースの設置について、大統領令を出した