米国の仮想通貨業界にとって、ドナルド・トランプ前大統領によるビットコイン(BTC)国家備蓄計画よりも、規制の明確化の方が重要だと業界幹部がコインテレグラフに語った。

3月6日に発表されたトランプ氏の大統領令は、米国版の戦略的ビットコイン備蓄およびアルトコイン用のデジタル資産ストックの創設を命じたが、仮想通貨業界の経営者たちの反応は冷ややかだった。

一方で、証券規制や課税といった基本的な問題について、いまだにホワイトハウスの明確な指針が示されていないことへの不満もあるという。

Web3 AIスタートアップ「Kindred」のCEO、マックス・ジアンマリオ氏はコインテレグラフに対し、次のように述べた。

「市場は、イノベーションに向けたロードマップや、ステーブルコイン、機関投資家の導入、税制に関する明確なガイドラインを期待している。しかし、あいまいなレトリックと即時的な行動の欠如が不透明感を一層深める結果となった。」

Trump signed a crypto executive order on March 6. Source: Margo Martin

選挙公約の実現と市場の失望

トランプ氏は2024年7月、米国を「世界の仮想通貨の中心地」にすることや、国家の金備蓄に倣ったビットコイン備蓄を創設することを公約していた。

今回の大統領令はこの公約の一部実現にあたるが、市場関係者の期待には応えられなかった。

米政府による直接的な仮想通貨購入ではなく、まずは法執行機関が押収したデジタル資産を中心とする備蓄・ストックとされているためだ。

この発表を受け、ビットコイン価格は3月6日から約13%下落している。マクロ経済の不透明感も重なり、市場は敏感に反応した。アルトコインも同様の下落を記録し、仮想通貨市場全体の時価総額は4億ドル以上減少した。

業界関係者によれば、今後も米国の仮想通貨政策が不透明なままだと、こうした損失がさらに拡大する恐れがある。

Bitget Walletの最高執行責任者(COO)、アルビン・カン氏はコインンテレグラフに対し、次のように語った。

「もしトランプ政権がステーブルコインやETF、機関投資家の導入に関する明確な規制を示せば、アルトコイン市場は再び勢いを取り戻せるだろう。しかしそうでなければ、依然としてビットコインが主要なマクロ資産として支配的な地位を維持し続ける可能性が高い。」

それでも残る楽観的な見方

それでも業界内には、トランプ氏の仮想通貨に対する前向きな姿勢や、業界寄りの人物が米国の主要な規制当局に任命されていることから、期待も残っている。

Gunzilla GamesでWeb3部門を率いるセオドア・アグラナット氏は、次のように述べた。

「トランプ政権下での米国の仮想通貨政策がどうなるかはまだ不透明だ。しかし、主要なポジションにいる人物たちを考えれば、仮想通貨業界全体、特に米国のプロジェクトにとって前向きな動きやニュースが継続的に出てくることが期待できる。」